シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



「現実を見ろ、玲」


冷ややかな…切れ長の目。

櫂をどうしても彷彿させるその顔で。


僕の心に、激しい動揺が生まれて。

それでも言わずにはいられない。


「僕は…負けない」


負けてはいられない。


「後悔するぞ?」


正々堂々と、生きる為に。


ゆっくりと――


「己の力に自信があるというのなら。

行ってこい、親父殿の元に。


そして――」


弧を描く、久涅の口元。




「絶望に喘ぐがいい」




だから僕は――



「打開してやる」



笑った。


それが僕の覚悟だ。



「久涅。お前に芹霞は渡さない」


僕がそう強く言い放つと、久涅は顔から笑いを消して、ただ目だけを苛立ったように細めた。



「お前を絶対選ばせない。

そして芹霞自身もお前だけは選ぶことはないだろう。

それは…自業自得の結果だ」


僕が持てる全ての怒りを視線に託して。


久涅は暫し無言だったが、やがて僕に背を向けて言った。


「……親父殿がお待ちかねだ。


せいぜい…頑張れ?」


やがて笑い声だけになり、僕は悔しさにくっと唇を噛みしめた。


その悔しさ故に、そして久涅の特異能力故に……、僕は新たなる気配が動いたことを見逃して、久涅と袂(たもと)を分かつように、憤然と当主の元に赴いたんだ。


「…俺が抑えていられる内に」


そんな久涅の言葉すら、聞き逃して。