シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



僕が次期当主だからこそ、有効な話題があるとすれば…。


――巫女との間に子を成して貰う。


それしかないんだ。


つまりそれは、最初から決まり切っていたものだということ。

それは、久涅も知っていたはずだ。


その肩書きを捨てれば、表面上の僕への強制力は薄まる。

僕が紫堂と縁を切れば、僕がそれに従う義務もない。


肩書きを捨てないのは、僕の持ち得る盾としたいが為に。


そして今、芹霞を守る為には必要で。

戻って来た櫂の力とし、それまで久涅の力を削ぎたいからで。


そう、僕にとって肩書きは、簡単に捨てられるものではないんだ。

それを今更、捨てろと久涅は言う。


無言の僕から、捨てる意思がないと見た久涅は、僅かに顔を歪ませて言ったんだ。



「肩書きを捨てられないというのなら――芹霞を捨てろ」



「は!!?」


思わず僕から声が漏れる。



櫂と同じ顔で――


「芹霞を…寄越せ」


僕から芹霞を奪おうとするのか。



そんな悲痛に満ちた顔で。

愛を漂わせたような顔で。



「お前では…無理だ」



次期当主としても無理。

芹霞の"男"としても無理。


欠陥だらけの僕よりも、自分なら出来ると…そう言いたいのか、久涅!!!



「馬鹿にするな!!!」


渾身の力で放った手刀は、


「お前は…弱すぎる」


軽く弾かれた。



屈辱。

何処までも屈辱。