シンデレラに玻璃の星冠をⅢ




「なあ紫堂。今回の爆発は…黒い塔が関係していたのかなあ。だとすれば、東京の魔方陣はどうなってるんだろ? もしも久遠達を生かす魔方陣であっても、既にボロボロで壊れてしまってたら…」


八の字眉の遠坂。


「その可能性は低いだろう。今回の"約束の地(カナン)"破壊が、"実験"であるということと、爆発が…親父や久涅の去り際に成されたことを考えれば、そのタイミングからいって、黒い塔が一斉に動いて魔方陣を攻撃したと考えるよりは、彼らが自らの無事を確認して故意的に仕掛けたと考えた方が無難だ。

つまり、金の万年筆か何かで、地下に眠る何処かの金を刺激して爆発させたんだと思う。

しかしそう考えれば…疑問も残る。

彼らが"約束の地(カナン)"に来た理由が、魔方陣破壊が目的と考えるのならば…どうして黒い塔の同時破壊まで待てなかったのか。黒い塔の意味合いは、魔方陣の同時破壊ではないのか。

大体…彼らが"約束の地(カナン)"の起爆剤となる理由が判らない。紫堂が…何故魔方陣破壊をしないといけないのか。先に"約束の地(カナン)"の魔方陣を潰すことにどんなメリットがあるというのか」


その時、翠が唸りながら隣に立つ煌に訊いた。


「ワンコ~、"約束の地(カナン)"の魔方陣って…紫茉がいたあの魔方陣と関係があるのかなあ」

「関係あるのか、アホハット?」

「黙秘権や」


「ワンコ~、今思えばあの魔方陣…周涅は壊したくなかったみたいだよな。ということは皇城は、魔方陣を守りたかったのかな?」

「どうなんだ、アホハット?」

「黙秘権や」


「……。何だか、横一列に並ぶ君達の同じ首の動きが面白いねえ。なあ、如月。小猿くんも一生懸命考えているんだからさ、ちょっとは一緒に考えて上げようよ~」


「おう、そうだな。で、どう思う、櫂」

「その場に居なかった紫堂に振るのかい!!」


何だか…遠坂の"突っ込み"レベルが最近上がった気がする。


「紫堂は皇城に取り入りたくて仕方が無いはずだ。だからこそ、親父自ら頭を下げて、玲に持ち上がった結婚話を破談にしないでくれと頼み込んだぐらいだからな、紫堂は皇城と対立関係には持ち込まない。

だとすれば…周涅個人が魔方陣破壊を嫌がっただけなのか、または…紫堂に思惑があるのか。或いは…"あいつ"の画策に親父が乗ってるだけか」



「"あいつ"って誰だよ?」



「――…久涅」


俺は言った。