シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



だから俺はそれを受け取り、とても"グロテスク"に見える、奇怪な塊を口に入れた。


「おい…櫂…」


俺が積極的にそれを受けて口にしたのが珍しかったんだろう、煌が戸惑った声を発したけれど。


咀嚼して、嚥下する。


「なあ、どうだ、紫堂櫂。紫茉のきび団子!!」


「独特な歯ごたえがあるけれど…確かに旨いな。元気が出て来そうだ。不思議だな、体力が回復した気になってくる」


それは不可解な現象で。

こんなものが存在するならば、"約束の地(カナン)"で何も俺は、旭や久遠から"しちゅ~"やらクサやら食わせられずにすんだのに。


あの不味さと屈辱を思い出す度に、げんなりしてくる。


「だろ、だろ!!!? 紫茉のきび団子は旨くて体力速攻回復アイテムなんだよ!!! ワンコも早く食えよ!! あ、ワンコは前に食ったことあるよな」


破顔した翠が朗らかに叫ぶ。

俺に促されて、煌もそれを口に入れ、はむはむと噛み始めた。


「まあ…確かに旨いけどさ。元気…出て来るけどさ…。……。ん……。やっぱこれ、旨えな。…本当に元気になる。七瀬…あいつ、どうやってこのパワーアップアイテム作ってるんだろ」

「だろ、だろ~!!!? ほら、ワンコ、紫堂櫂。遠慮せずもっと食えよ!!」


「クマ…"桃太郎"ご一行はんは…やっぱりきび団子が好きらしいわ~。ウチも食うてみたいのに、翠はん…ウチにはくれんのや~。気づいてないんやろか~」

「情報屋、お前も"トリ"ならご一行様の1人ということで、素直に皇城翠に懇願すればいいだろう。俺は柿ピーでいい。クマだからな、がははは!!!」

「ウチ、"キジ"とちゃうわ~。それにこういうのは、桃太郎はんからくれるもんやろ~。そやから念飛ばしておこ。ウチにもきび団子、ウチにもきび団子…」

「情報屋…。やっぱりお前は自分のことは"トリ"だと思っているんだな」


「旨かったな、きび団子!!! よし全部食い終わったし、次頑張ろうか!!」


「そんな…(がくっ)」

「……残念だったな、情報屋。がはははは!!!」



そんな会話がなされていたこと、和やかな雰囲気で談笑していた俺達の耳には届いていなかった。