シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


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元来た崖道を急いで駆け戻り、例の分岐点に行き着いてみれば…


「……アホハット、クマ。

お前ら――…

何でこたつ出して、

暢気(のんき)に柿ピー食ってんだよ!!?」


何処から取出したのか…情報屋の半纏と同じ、変態ワンコ柄のこたつに入っていた聖とクマは、実に長閑(のどか)な雰囲気で、煎茶と柿ピーを口に含んで談笑していた。


「おお、お疲れやったな!! これか? ひーちゃんは半纏あるからぬくぬくやけれど、クマはおっさんやから、体力なくてガクブルし始めたさかい、ひーちゃん印のおこたの登場や。どや、皆はんもおこたでぬくぬくは? ああ、あの立て札通り過ぎた時点で、時間はカウントされまへん。疲れた体を癒してや~」


空いている2方向に指をさし、さも善人面で聖は笑う。


半纏でぬくぬくしているのなら、こたつに入らねばいいものを…積極的に馴染んでいるように見えるのは目の錯覚か。


「ああ…ワンワンはんは、おこたよりもお外でワンワン元気に走り回った方がええな。ん~久遠はんや司狼はんがいれば、真っ先におこたで丸くなりそうやけれど」


あえて…否定はしまい。

あの"だるだる"主従は、完全きまぐれ猫科だ。


「翠はんは、おこたよりも温泉か。頭に手ぬぐいのせてぽかぽかしたいクチやろ? そこにみかんでもぷかぷか浮いてたら嬉し…ちゃうか?」


びくっと体を震わせた翠。

図星らしい。


「俺達、必死に必死にオニから逃げ回っていたんだぞ!!? その間に、お前達これ何よ!!? 何でこの柄よ!!? 此処の場所の何処に電源あるよ!!!? 何処にこたつ隠してたよ!!? お前、ドラえもんかよ!!? ドラえもんが情報屋って何よ!!!? 俺知らねえぞ、聞いてねえぞ!!?」


煌の怒りの理由は拡大していき、本人も何に対して怒っているのか判らなくなってしまったようで。


「ワンワンはん…そんな細かいことはナンセンスや。今はワイヤレス・コンパクトの時代、ぬくぬく出来ればどんなものでもええがな~」


「~~ッッ!!!」


煌は反論できずに、顔が真っ赤だ。