シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



「なあ紫堂櫂。ワンコって、猫が好きなのか?」


「………。いや、煌が好きなのは、猫じゃなくネコ耳と尻尾の組み合わせだ。しかも多分…芹霞限定で」


2ヶ月前。

池袋のコスプレショップから買った猫耳メイドのセットは、まだ芹霞に使われることなく、大事にタンスの引き出しにしまってあるらしい。


以前、芹霞に相談された。


――煌が…夜中、あの"セット"取出してにやにやしてるのよ。しかもさ…寝言で"芹霞のネコ耳最高"とか言ってるの。あたしの羞恥の場面を、奴変態!!?


その場に居た玲がにっこり笑って言ったんだ。


――芹霞。"あたしは妄想の猫より現実の犬が好き"って言ってご覧?


そして次の日。


――言ったらね、凄く顔真っ赤にしてね、封印して現実に生きるって。意味わかんない。


現実(リアル)に戻ったはずが、また再燃してしまったのか。



「芹霞のネコ耳だぞ、櫂!!!」


何で…そんなにネコ耳が良いんだろう。


俺は芹霞であれば何でもいいし、芹霞がそんな耳をしていてもしてなくても別に…。


………。

………。


"ニャアアン"


………。

………。


……俺は、別に…。



「これで"ニャアアン"なんて言われたら、く~ッッって来るだろ、櫂も!!」


………。

………。


"ニャアアン"


俺は……。


……人間だし。


生身の芹霞がいれば…



"ニャアアン"


………。

………。


……俺は…別に…。



「なあ、紫堂櫂。何で顔赤いの? 熱?」


俺はぶんぶんと頭を横に振る。


ネコ耳が好きなのは煌だけだ。


玲だって…。


"ふふふ、可愛いね、芹霞。僕も一緒に猫になろうかな"


………。


あいつなら、積極的に芹霞と一緒にコスプレでもして、そして確信犯的にゴロゴロと芹霞に甘えそうだ。猫だからという理由で。

まさか…そんなことしてないよな、玲!!!


ああ駄目だ。

芹霞と玲のことは今、考えるべきではない。


考えるな、考えるな!!!


「lululu~♪」


ネコ耳は男を惑わすと聞いたことがあるけれど、煌の食いつきは凄い。


同種…ではないが、やはり耳があるんだろうか、煌にも。