全て飲み込み、"約束の地(カナン)"は崩れた。
しかし不思議と…榊はまた何処かで現われるような気がして仕方が無い。
遠坂由香という妹が生きている限り…。
それから…オッドアイの人形遣いはどうなったのか。
スクリーン中の…俺が斬り付けた者の正体も判らないまま。
ああ――
何の為に"約束の地(カナン)"は崩れたんだ?
全ての物的証拠と状況証拠を呑み込んで、無に帰った"約束の地(カナン)"
どうしてもそこには、何かの意図があるように思えるんだ。
「『気高き獅子』。これだけは言っておくぞ。俺は…ある"目的"の為に裏世界に足を突っ込んだが、表世界にも"所属"している"IS"と呼ばれている者。それはそこの有名な情報屋も同じことだが、情報屋程俺は裏世界に精通しているわけではない。個人的に必要な、最低限度だ」
「おいクマ!!! 信じられるか!!! お前あの胡散臭い男の息がかかっているって…最初から言わなかったじゃねえかよ!!!」
「如月~。小猿く~ん。カモンカモ~ン!!」
「ああ、言わないのが条件だ」
「じゃあ何で言ったんだよ!!!」
「ワンコ~、止まれ~!!!」
「如月~!!!」
「『気高き獅子』…お前さんの侠気だ。がはははは!!!」
クマはそう笑って。
「お前さんの決意表明を聞いたら、お前さんの前では…隠し立ては無意味だと悟った。俺とて、無駄な時間を過ごして、『白き稲妻』を窮地に陥れたくはない。
何度も言うが…俺は『白き稲妻』が可愛いんだ。あいつの哀しむ顔は見たくない。助ける役に立てればと…それが俺が氷皇に協力した理由の1つだ」
俺は目を細めた。
「白皇が発案した研究は…裏世界のある"人間"がそれを引き継いでいる。
『TIARA』計画…と呼ばれるものだ」
「TIARA!!? 氷皇のデータにあったTIARA、やっぱり師匠に関係あったのか!!?」
「何だ氷皇も口の軽い。だったら判っているな、『人工生命』」
「大まかには」
俺は頷くと、クマは続けた。
「俺も詳しいことは聞いていないが…氷皇曰く、"約束の地(カナン)"は、TIARAを凝縮させた…検証を兼ねた"実験"に使われたという。
模倣、増殖、複製、寄生…本来なら魔方陣が壊れて、輪廻の円環で"実証"されるはずだった。
しかし魔方陣が破壊されず、無事だということがもし判れば…また"約束の地(カナン)"の魔方陣は狙われるだろうと。それが判明するまでに5日かかるらしい」
5日…。
「緋狭姉が拘っていた、5日…か」
煌が眉間に皺を寄せて呟く。

