シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



発情期の時のように甘えるような声でいて、だけどとてつもなく鋭い…正反対の性質を秘めたその声音が、空気をびりびり震わせたんだ。


何だ、この猫!!!?


すると――…


「発火!!!?」


蛆が…いきなり燃えだしたんだ。

赤く…炎に包まれて。


猫が炎!!!?


驚いて皆で猫を見たけれど、猫は少し離れた処に座り込んで、派手な欠伸をしていた。


だから何、この猫!!!?


何だか判らぬまま…蛆は燃え尽きてしまい、そして炎も消えた。


風景から、悍(おぞま)しい赤色と白色が消え、見慣れた無彩色の色合いが回復する。


男の姿など勿論なく、最初から何もなかったかのように…男の存在だけが忽然と消えたんだ。


一体何が起こったのかよく判らない。


この猫がなんかしたの!!?


白猫は…ペロペロと自分の手を舐めている。


そんなに凄い猫には思えない。


猫は所詮猫で。

白いふさふさの…ただの猫にしか見えないのに。


猫の鳴き声に救われたのか。

炎に救われたのか。


猫が炎を誘発したのか、関係ないのか。


何もかにもがよく判らない。



「猫だよね?」

「猫だよな」

「猫ですよね…」


やはり…あたし達の中では、猫以外の凄いものには見えない。


猫がしているのは、猫特有の仕草ばかりだし。


ただの猫か、凄い猫か。


じっくり検分してやろうと、近くに呼び寄せようとしたけれど、白猫は何処吹く風で。


おいでおいでしても来る気配もないし、ぱたぱたと軽く手で床を叩いてみても見向きもせず。


「ネコターン」とちょっと甘えて呼んでも、耳の後ろを足でぽりぽりするのに夢中でてんで反応なし。


四つん這いになり、ニャーニャーと…猫の声真似までして呼んでみれば、少し反応あって…ちらりとこちらを向いてくれたけれど。


"お前馬鹿?"とでも言いたげな冷たい顔をくれた後、どうでもよさそうな顔で大欠伸をされ、その後体を丸めて寝てしまった。