シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



「な、ななな!!!」


驚愕の声を出して、あたしの思考を中断させたのはや由香ちゃんで、人差し指を男に突きつけたまま、ぶるぶると震え出した。

そして言ったんだ。


「瓜2つじゃないか!!!

情報屋と…そしてシド…いや"あいつ"のと!!!」


由香ちゃんが言いかけた"シド"とは、きっと紫堂櫂のことだろう。

ドアが開け放たれているから言葉を濁したんだ。


情報屋と紫堂櫂の身体にも、この黒い薔薇の花が刻まれているの?


――……の印なんだよ、芹霞。そう…仲間だ。


「おい、お前は誰だ!!? 何処の者だ!!?」


思い出しかけたのに、桜ちゃんの声に遮られた。

桜ちゃんが痙攣続ける男を揺さぶっていたけれど、男の口から漏れてきたのは――…


「ワマス ウォルミウス ヴェルミ ワーム…」


意味の通じない、何処かの言葉で。

その響きが、あたしに…悍(おぞま)しい悪寒を喚起させた。


これは言葉じゃなく、…何かの呪文?


そして――。

それを、息絶え絶えに吐いた男の体は…


「な!!!!?」


まるで分解されるかのように…細かくなっていったんだ。


崩れ落ちる人型の輪郭。


まるで白い砂のようにさらさらと…。


それは消え去る類のものではなく…


「下がっていて下さいッッ!!

これは…蛆ですッッッ!!!」


桜ちゃんの慌てた声。


「何故…何重にも張った…紫堂の結界の中で!!!?」


蛆。

蛆。


さらさらと…雪のような白い蛆。


食われる…。


それが頭に過ぎって。


悪夢は…まだ続いているの!!?!

いつまで続くの!!!?


幻覚だと…何を証拠に見破ればいいの!!?

あたし…蓮の鏡、借りてないし!!!


あたしの目は正常なの!!?



「これは幻覚!!? それとも…」



あたしが叫んだその時。





「ニャオ~~~~ン」





白猫が鳴いた。