シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



「今度はあたしの方に来たよ~。どうしよう、何か人事の気分じゃなくなってきちゃった!!! 早くどうにかしたくて焦ってきちゃった!!」

「これぞ氷皇の心理作戦か!!!? な、何でボクに渡すんだい、神崎!! これは君に来たメールだろ!!? 返す」

「あ、あたしいらない。由香ちゃんにあげる」

「ボクだっていらないよ!!! だから何でボクにポイって…」

「いや~。由香ちゃん、あたしにポイしないで~」

「いやいやこれは神崎のだし」


単純思考の…女性2人。

まるで時限爆弾を手にしたように、鳴り続けるiPhoneを互いの手に放り続けて、責任回避を目論んでいる。


『ラーブ、ラブリー、ひいちゃん!!』

『ラーブ、ラブリー、ひいちゃん!!』


「うわうわ、今度はボクにも鳴り響いて…うわっ葉山の方も!!?」

「メールを全員一括送信したんだよ、蒼生ちゃん!!! 煩いよ~。玲くんの合わせたら4重奏で煩すぎるよ~。もうこれストーカーレベルだよ、絶対迷惑メールだって~!!!」


本当に煩い。

煩い声色が3倍(プラス1倍)だ。


「あああ、この騒音に耐えられない!!! もう…押すぞッッ!!?」


遠坂由香が悲痛な声を上げながら、自分の画面を押すけれど…声は止まらず。

芹霞さんのも私のも…ボタンを押すことすら出来ない。

グレー色になって、押す操作が無効化されている。


「何でだよ~ッッッ!!」

「とりあえず玲くんのもやってみよう!!」


芹霞さんは遠坂由香がぐるぐる巻きにした玲様用のiPhoneの拘束を解き、慌てて画面に大きく表示されている「OK」ボタンを押した。


すると――


「何で…全部の音が止むんだろう…」


一斉に情報屋の声は収まった。


「ボク達のこれ…師匠のiPhoneの子機みたいなものかもな」


遠坂由香は溜息をついて。


「師匠のiPhoneに来たものを取らないと、ボク達のiPhoneはスピーカーみたいに拡声されるんじゃ…」

「えええ!!? 何それ…!!! じゃあこのiPhone捨てちゃおうか!!」


「そうだな。とりあえずその前に…メールだけでも開くか。煩いからな。師匠もいないし、どうか…普通に腐ってるメールでありますように!!!」


胸の前で十字を切って、遠坂由香は開かれたメールを覗き込んだ。