シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



櫂様…。


一介の警護団長如きが、主たる櫂様と過ごしてきた思い出は強すぎて。


私だって見てきた。

櫂様が、どんなに芹霞さんを一途に愛されてきたか。


そして玲様もまた。


知ったのは本当に突然のことで、それまで…玲様の心を私は気づくことも出来ないくらい、玲様は見事に心を隠してこられてきたけれど。


大切な櫂様の気持ちを一番知る玲様でさえ、どうしようもなかった程…芹霞さんを愛されているのも判るんだ。


そしてあの馬鹿蜜柑も。


不器用で直球で…盛ってばかりだけれど。


その煌が、唯一"忍ぶ"という…大の苦手なことを自分に強いてまで、それでも芹霞さんを求め続けていることも、私は判っている。


ああ…皆の心が痛くて。

私は、心から玲様を賞賛できなくて。


切ない。

切なすぎる。


心が共鳴して…きりきりと痛んでくる。



私が物思いに耽っている間、遠坂由香は、いまだ鳴り続けるiPhoneをぐるぐると上着で包んで、音を消してしまっていた。


「どうして音量も変えられないのかな、このスカポンタンの最新機器は。これじゃあいい様にされるがままじゃないか。今は師匠もいないし…頑張って皆で凌ぐぞ!!!」


私達は力強く頷きあう。


「メール開けないと…また投稿されちゃうのかなあ。二宮さん待機しているんだったよね、確か…」


「二宮さん…氷皇の腹心なのかな。榊兄みたいな…。けど…榊兄から、氷皇からマッサージして貰ったなんて聞いたことないや」


「まさか、蒼生ちゃんの恋人なんじゃ…」


「氷皇の恋人なんて、普通人に務められるものか!!! 遊ばれるまでにも至らず、使い捨てだよ、きっと。どこかの発情ワンコみたいにさ」


途端――

芹霞さんの顔つきが険しくなった。


「今度説教してやる!!!」


どちらに…説教をするつもりなのだろうか。



『ラーブ、ラブリー、ひいちゃん!!』



「ひっっ!!!」


芹霞さんが飛び上がる。

音を遮断したはずなのに、また聞こえてきた理由は…。