今の処、緋狭さんもどきの攻撃は金翅鳥(ガルーダ)の炎だけ。

緋狭さんもどき自身は傍観しているだけで、攻撃してこない。


攻撃レベルが初期だからなのだろうか。


これで緋狭さんもどきが、本物の緋狭さんのような攻撃力を持っていたら、俺は躱(かわ)しきれるだろうか。

もどきの攻撃力は未知数なれど、この金翅鳥(ガルーダ)を操れるのであれば、相当な力を持つ贋物のはずだ。



『いろいろ、なにいろ~?


あははははは~』



また胡散臭い声が聞こえてきて。




「気をつけろ、煌、翠!!! 色が変わるぞ!!!」


最後の青色を片足で踏んで、宙に飛び上がった時、



「シロッッ!!!」


緋狭さんもどきが叫ぶ。



途端に、今まで何とか見慣れてきた石畳と周囲の景色の色合いは、瞬時に別色に切り替わった。


そして俺達は、躊躇(ためら)いながら…新配色の景色の中、白色に触れていくことになる。


クアアアアアア!!!


金翅鳥(ガルーダ)はまだ消えない。


「えええ!!!? ニノ、金翅鳥(ガルーダ)は消えねえの!!?」


『お答えします。オニの攻撃は、追加はあっても減じることはありません。イヌ』


「櫂…これ、結構ハードだぞ? ひっきりなしの金翅鳥(ガルーダ)の攻撃躱(かわ)しながら、休憩の暇無く、瞬時に移動場所判断して動かないといけねえし…。小猿が心配だな。俺、抱えようかな」


「多分、翠が動いていないということで、10秒定義(ルール)を適用される。翠自身に踏ん張って貰うしかない」


その時、突然視界に"異物"が現われて、思わず目を見張る。



「うわ!!!? これが…首飾りつけた人形か!!?」


その数はかなりのもの。

首飾りをとれるチャンスが拡がった分、移動出来る場所をそれに占拠された形で、更に俺達の動きが制限されている。


「これ…お面つけてるけど、芹霞と玲と桜と遠坂、久遠や蓮、チビや司狼!!? え!!!? めちゃリアルじゃん!!! だっせえお面つけてるけど!!!」


そうなんだ。


紙のお面に、"ボケ女"と書かれた黒髪風の少女は間違いなく芹霞。