そしてあの手紙…。
既に脅し文句が用意されていたということは…。
氷皇自身が当初用意していた"動画"というものも、やはり腐ったものであるから、僕達の脅しとなり得たのではないだろうか。
恐らくは――
僕の見知る男性陣のうちの誰か2人が、腐った動画としておかしな加工をされていたのだろう。
そして――
その内の1人は、高い確率で僕だ。
結局僕は脅されて、慌てて手紙を見る羽目になる。
僕が手紙を見る運命は何も変わらない。
ああ、何だか…。
学習しているはずの僕の行動は、全て胡散臭い男の予想範疇内で、例えもがいてあがいて逃れようと、どこをどう転んでも…青い謀略に包囲されたまま、結局は青い男の思い通りに回っていることが凄く口惜しい。
「ねえ…例えばさ、"ちょっと電波届かないトコロに居て、メール見てなかった、あは☆"とか使えないかな」
芹霞の声に僕は、
「甘いと思うよ、芹霞。そんなこと氷皇なら見抜いて…あ、またメール? そこまで急かされているのか?」
―――――――――――――
差出人<aoao@ares_ioa.com>
--------------------------
宛先<hihi@teraikemen.net>
--------------------------
そういえば
--------------------------
GPSは有効だからね☆
iPhone電波悪くても、
この機能はばっちり。
何処に居てもアオは
おそばに☆
安心してね~
♪d(´▽`)b♪
―――――――――――――
「………。ね、芹霞」
「この顔文字、ムカツク…」
画面を見ていた由香ちゃんが、軽く声を上げた。
「GPSを無効にしようと設定画面開いたんだけど、殆どがこっちから弄れないようになってる!! 音声ガイドsiriの処なんて、hisiriになってるし!!」
結構…手の込んだ改造らしい。
僕がよくするように、ハード内部の部品から変えているのかもしれない。
改造とは…意図があってするもので、このiPhoneは、ただ僕達の抵抗を封じさせるものなのか、別の意味合いをもつものか…まだ判らないけれど。
仕掛けは多々あるんだろうと思う。
そして僕がそれを見たら、好奇心で色々調べるだろうこと…氷皇は見越していると思うんだ。
ならば何も調べず、何も弄らない方が得策だ。
好奇心で知ってしまったが為に後悔することもある。
そのパターンを踏みそうな気が、ひしひしとするんだ。

