「氷皇と黒皇の確執とかはどうだい? 久涅が当主にべったりだから、氷皇が手出しできずに後手に回ったとか」
「ん…。紅皇と並んで最強とされる氷皇が…黒皇を自由にさせすぎているのが変じゃないか。氷皇なら、自分の意向を邪魔する者は、徹底的に潰しそうだ。例えそれが仲間でもね。やらないのは…やる必要がないからだとしか言い様がない」
必然故に。
そう考えると、ますます氷皇が何をしたいのかも判らない。
「五皇は…判らないことばかりですね」
桜が苦笑する。
「1つ言えることは…そんな秘密主義の五皇が、少しずつ手札を僕達に見せているんだ。何かに縛られている…それを開示しているということは、それだけでもう…五皇の世界にとっては異常事態だ」
五皇が独自で処理できないことが、起きているのは事実だろう。
それを僕達に託していると考えるには…自惚れすぎているだろうか。
「ああ、久遠がだらだらしていなくて白皇になってたら、少しは色々知ることが出来ただろうにね。ま、久遠が教えてくれればの話」
そう芹霞がからから笑う横で、由香ちゃんが俯いていた。
「どうした、由香ちゃん?」
そう声をかければ。
「あのさ…ボク、師匠達に逢える、力になるため頑張ろうとしか思っていなくて、深くは考えてはいなかったんだけれど…」
八の字眉で申し訳なさそうに言った。
「"約束の地(カナン)"組の1人がこうして生きているということが、当主や久涅に判られれば…久遠も折角逃げ切れた紫堂や如月達も、危険な目に遭うんじゃないだろうか。紫堂達は裏世界に居るから、まだ今は逃げ切れるとしても」
そしてまた俯いて、凄く言いにくそうに言葉を連ねる。
「久遠…今、頑張ってるんだ。5日後、絶対皆で会いにいって助けるっていう約束、ボク達してきてて。久遠…海の底で、多分…ずっと術を使っている。紅皇の肉体が滅びないよう、言霊の力で縛り続けている。彼は逃げたくても逃げれないんだ、あそこから」
由香ちゃんはそう唇を噛んで。
「しかも久遠は…ボクのせいで怪我してるんだ。悪環境で悪化しないか気になるんだよ。しかもあのクサ食べてないし…」
クサ…。
――レイくーーん、あーーーん。
忌まわしいあのクサ!!!

