シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



「身内から五皇が出たことを、逆に利用する…。考えられなくもないけれど、慎重派の当主としては、それを拠り所として勝負をかけるには甘いと思うな」

そして僕はふと前のことを考える。


「僕達にとって、事の発端は…氷皇がマンションに訪ねてきたからだ」


"紫堂に謀反の疑いあり"


「しかし実際、紫堂にあった動きは、皇城と結託しようとしていたくらいだ。特別…元老院に刃向かおうとした動きはない。久涅が居ても」

僕が次期当主になった時、まず調べたのはその部分だった。

何も出てこなかったんだ。

皇城と接触しているということぐらいしか。

そして何の為に当主の部屋に、櫂が見たという…皇城の九曜紋のついた黄幡会の置物があったかも判らない。

というか、離れに棟を構える当主の部屋には、呼ばれることがない限りは行くことは出来ないから。

そこにはより強い当主の結界が張り巡らされ、当主が受入れぬ者以外は立ち入ることは出来ない。

櫂が当主の部屋に赴けたのは、当主が不在だった理由が大きい。

そして棟の番人を退けるだけの強さがあいつにあったから。

今の僕では、強行策は危険過ぎた。

調べ物がある以上、身内とはいえ…警戒心を煽るわけには行かないから。


当主の部屋を僕が知れる機会があるとすれば…当主に招かれた時。

だから僕はきっと、今後も当主の部屋は目にすることが出来ないだろう。

……昔、可愛がって貰えた時は、招かれたこともあったのだけれど。


「皇城という集団は、元老院の領域(テリトリー)外の存在であり、元老院並の力を持つ。元老院から独立するという意味で、"寄生"場所を移したことが、謀反という表現になったと考えてもおかしくはない。だけど…それだけでは弱すぎるんだ、氷皇が自ら動くには」


そして僕はまた、青いパソコンに目を向けて。


「そう考えると、どうしても結論は1つになってくる。つまり"謀反"は、単純に僕達の動きを縛るためだけの口実だ」


そう、紫堂たる僕達自身が…何かに巻き込まれている。

櫂も僕も…。


「氷皇は"意図"あって何かを紫堂に持ちかけ、その動きを縛っている。その氷皇もまた…何かの"意図"を持つ黄の印に縛られている」


そう考えれば――


「"約束の地(カナン)"爆破の件。氷皇と当主の意向が違ったことが、何でか気になるな。氷皇は当主の出現を予測していながら、なぜ力で当主を縛れなかったのか」