「神崎にしては鋭いな。成人前後に…幼女の教育係は…何か変だよね。いくら紅皇の頭が天才的でも、一応当主も頭がいいんだろ?」
「教育目的じゃないとか? 緋狭さんが…「師匠、ストップ!!」
「玲くん、何でそこにお姉ちゃ「玲様、真相を確かめたいですね」
桜がさらっと上書きしてくれて、僕は密かに安堵の息をつく。
うっかりしてると、芹霞の前で紅皇=緋狭さんとばらしてしまいそうで怖い。
「23歳の当主を教えられるなんて神だなあ。ねえ、誰も紅皇サンの過去は、知らないんでしょう?」
「うん、そうだね」
「紅皇サンに家族はいないの!!?」
「……。多分、いるだろうね。僕…よく…聞いてな…げほげほっ」
「大丈夫ですか、玲様!!!」
「師匠は…おかしな処が素直だよな…」
僕は芹霞を含めて皆に背中を摩って貰いながら、げほげほの繰り返し。
何処のジイサンだよ、僕。
「紅皇サンが五皇になる時、ご家族の…ご両親とかは反対しなかったのかな…。もし妹が居たら寂しいよね…。あたしもよく判るなあ…小さい頃からお姉ちゃん働いていたし。そこまで貧乏じゃなかったはずなのに、どうしてお姉ちゃん出稼ぎに行ってたんだろう。しかし紅皇サンも、何でそんな小さい頃から五皇で働き出したんだろうね。真面目な勤労少女だねえ。同じ働いていても、あの下ネタ飲兵衛のお姉ちゃんと大違いだ、あはははは」
「何て…コメントしよう、師匠…」
「げほっげほっ…」
「玲様、お水です」
飛びつくように水を飲んで、大きく息をつく。
むせて苦しかった僕の目は涙目だ。
何か最近むせてばっかりだ、僕。
そんなことを思いながら、話を続けた。
「紅皇にも…謎が残るよね。誰のどんな意図で紫堂に居たのか。そして…紫堂の住人のはずなのに、出生も…年齢すら情報が出ない…久涅。それから…」
僕は青いパソコンに目を向けた。
由香ちゃんから聞いた、氷皇のスクリーンセイバーの意味。
"五皇の履行"という意味で、緋狭さんの背中にある"黄の印"に連なるものとして、氷皇が紫堂に"何か"を持ちかけたというのならば、むしろ今の紫堂は氷皇の管理下にある。
それは元老院としてか、五皇としてかは判らないけれど。
「事実上…現紫堂は氷皇によっても守られている。謀反…その疑いがかけられている紫堂が、他元老院らの攻撃の手を免れて好き勝手やれているのは、そういう理由だろう」
腹立たしいけれど…。
「紫堂は…本当に謀反を企てたのかな、師匠…」
「当主は元老院に絶対服従している。全ては元老院ありき。もしも本当にそういう動きがあるのだとしたら、勝算ある力を手に入れたということだ」
例えばそれは――
「それが…久涅という存在、ですか?」
桜が問うてくる。

