「玲くんそれ…」
「離さないよ、僕は」
君もね、そう付け加えると芹霞は意味が判らなかったのか、きょとんとした顔を向けて来たから、僕は言い直した。
「離さないよ、"彼女サン"も、"彼女サン"の贈物も」
「かかかかか…」
途端芹霞は真っ赤になって、今にも蕩けそうで。
嬉しいね、意識して貰える…この反応は。
「その台詞に流し目…ボクまで赤くなっちゃった。って、それよりさ、あの鈍チンがこんなになるなんてミラクルだよ!! ブラボー師匠!! やったね、師匠!! ひゅうひゅう~」
「か、かか…"彼女サン"…やぁん…」
………反応して貰えるのは、"彼女サン"という言葉にだけみたいだけれど。全然、僕…見て貰ってない気がするんだけれど。
口にすると哀しくなりそうだから、それは黙っておいた。
その代わり、見せつけるように月長石のブレスレットに唇寄せて、東京の電磁波安定のために流していた僕の力を、少しだけこちらに向け…そして純なる0と1でプログラムを組み立てていく。
「久々だねえ、師匠がハードを使わないプログラム作るのは」
「玲くん…青色に染まって綺麗だね…」
………。
青…確かに、僕の力の色は青だね…。
色…変えられないかな。
「うっひょおおお!! 画面に沢山流れ込んでくるよ、0と1の羅列!! 凄いなあ…ッッ!!! さすが師匠だなッッ!!!」
!!!!
その時、僕は…何か奇妙な"気"の流れを感じて、力を止めた。
桜を見ると、桜は固い顔をして頷いた。
「ど、どうしたの?」
「紫堂に…何かが忍び込んだ」
僕は目を細めた。
「玲様、見て参ります」
立上がる桜を僕は制した。
「いや…何か変だな、この気…。………。少し様子を見よう。それに紫堂は当主の結界が張ってるし、警護団もいる。そう簡単に動けないはずだから」
「判りました」
奇妙なのは…僕も桜も、由香ちゃんや情報屋の気は追えなかったというのに、今は判るということで。
つまりこれは…陽動のようにも思えたんだ。
わざと、その存在を主張し、誘き寄せているような。
だとしたら――
こちらは動かず、相手の出方を窺っていた方がいい。

