シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



「玲くんそれ…」

「離さないよ、僕は」


君もね、そう付け加えると芹霞は意味が判らなかったのか、きょとんとした顔を向けて来たから、僕は言い直した。


「離さないよ、"彼女サン"も、"彼女サン"の贈物も」

「かかかかか…」


途端芹霞は真っ赤になって、今にも蕩けそうで。

嬉しいね、意識して貰える…この反応は。


「その台詞に流し目…ボクまで赤くなっちゃった。って、それよりさ、あの鈍チンがこんなになるなんてミラクルだよ!! ブラボー師匠!! やったね、師匠!! ひゅうひゅう~」

「か、かか…"彼女サン"…やぁん…」


………反応して貰えるのは、"彼女サン"という言葉にだけみたいだけれど。全然、僕…見て貰ってない気がするんだけれど。


口にすると哀しくなりそうだから、それは黙っておいた。


その代わり、見せつけるように月長石のブレスレットに唇寄せて、東京の電磁波安定のために流していた僕の力を、少しだけこちらに向け…そして純なる0と1でプログラムを組み立てていく。


「久々だねえ、師匠がハードを使わないプログラム作るのは」

「玲くん…青色に染まって綺麗だね…」


………。

青…確かに、僕の力の色は青だね…。

色…変えられないかな。


「うっひょおおお!! 画面に沢山流れ込んでくるよ、0と1の羅列!! 凄いなあ…ッッ!!! さすが師匠だなッッ!!!」


!!!!


その時、僕は…何か奇妙な"気"の流れを感じて、力を止めた。

桜を見ると、桜は固い顔をして頷いた。


「ど、どうしたの?」


「紫堂に…何かが忍び込んだ」


僕は目を細めた。



「玲様、見て参ります」


立上がる桜を僕は制した。


「いや…何か変だな、この気…。………。少し様子を見よう。それに紫堂は当主の結界が張ってるし、警護団もいる。そう簡単に動けないはずだから」

「判りました」


奇妙なのは…僕も桜も、由香ちゃんや情報屋の気は追えなかったというのに、今は判るということで。

つまりこれは…陽動のようにも思えたんだ。

わざと、その存在を主張し、誘き寄せているような。


だとしたら――

こちらは動かず、相手の出方を窺っていた方がいい。