シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



「何かしてたのかい、師匠」

「うん。東京の電力が止まった際の…調査機あったろう?」

「ああ、師匠がちまちま作っていた機械かい?」

「ちまちま…。ま、そう、あれだけど。虚数が流れ込んできた時点で電源が落ちていたのを、電源を入れ直して貰ったんだ。今この時計の数字が増えているということは、調査機に電力が行き渡り…仕事を始めたということだ」

「ふむふむ。で? 調査機起動させてどうするんだい」

「東京の電力分布を把握し、結論的には虚数に虚数をぶつけて…あの塔の力を相殺してみようと思う。完全では無理でも…虚数が薄まる瞬間に、僕の力を流し込む」

「………。0と1の増産…。メインコンピュータを再起動させるのかい?」


由香ちゃんは、僕の言いたいことを察してくれて楽でいい。


「その通り。原点に立ち返りたい。氷皇も情報をメインコンピュータに送ったとなれば、忌々しいけれど…そうすべきだということだ」

「だけど…師匠。時計の数字だけで東京の電気分布図…判るのかい? 確かそれは、返るデータが多すぎるから、メインコンピュータでの処理しかできなかったはずだったよね?」

「そう。だから…媒介に使いたいんだ。その青いパソコンを」


由香ちゃんは飛び上がって、忌々しい色のパソコンを取出し膝に置いた。


「何だよ、そういうことなら早く言っておくれよ。ボクが師匠の元に来た意味ないじゃないか」


「ふふふ、ナイスタイミングだったんだよ、由香ちゃん。だけどね、君は本当にお疲れ様だから、ここはまず一休みして、僕に任せてくれないか」


「え…だけど…」


「その分、後で扱き使わせて貰うから」

にっこりと笑うと、由香ちゃんは惑っていたようだったけれど、僕が更に笑いかければ、ぺこりと頭を下げて、


「師匠、では今だけ…楽させて貰います。後で扱き使って下さいマセ。ぺこり」


礼儀正しい僕の弟子。

合縁奇縁とはこのことで、不思議な縁で出会った女の子だけど、憎めない朗らかなキャラが、芹霞とは違った意味での癒しになる。


「先にプログラム作らないといけないな。………。ん…、キーボードで打つには少し時間がかかるから…」


僕は袖の中に入っている、芹霞からの贈物を取出した。