僕は考える。
氷皇は何の為に、この特質を暗号にしたのか。
忌ま忌ましさと無駄で構成されているものだけれど、出て来る答えは…いつでも必然。
五皇の特徴に意味があるのだとすれば、そこに今まで僕達が考えていなかった真実のヒントが隠されているはずで。
「久涅が…黒皇、なんでしょうか」
桜が惑ったような口調で言った。
「黒皇だから…年齢や出生が、紫堂内部でも出てこない理由にはなるね」
その問題に関する解決ヒントだとすれば。
………。
氷皇が"約束の地(カナン)"でのゲーム後に見せた映像の中で、五皇色の"黄の印"があった。
その印が久涅の背中にあったというのなら。
久涅が櫂にそれを見せたというのなら。
久涅が黒皇だということは、紛れもない事実なんだろう。
いかに僕達が驚愕に声を上げようと。
だけど――
「だとすれば、今までの久涅の行動は…全て必然ということになる。櫂を追い出したのも、"約束の地(カナン)"を滅ぼしたのも、櫂に正体を晒したのも」
僕は…その必然の意味がどうしても見えてこないんだ。
今までの固定概念が邪魔をする。
どうしても久涅が、個人の…私情で動いている気がして。
だけどもしも――
五皇として振る舞っていたとしたら。
五皇が…何故"約束の地(カナン)"を?
緋狭さんは…守る側についたというのに。
氷皇ですら、抜け道を用意した。
少なくとも五皇の内2人は、破壊側ではなかった。
久涅の情報があまりになさ過ぎる為、客観的な判断が出来ない。
僕の父親と…櫂の母親から生まれたかも知れない久涅。
僕よりも櫂を敵視している久涅。
久遠に事前警告したという久涅。
久遠の記憶する姿を変えていたという久涅。
彼の真意が判らない。
情報を集めないと。
その為には…メインコンピュータを再起動させないと。
その時、僕の腕時計から音が鳴った。
画面をあるものに切り換えれば、数字が増えていくのが確認出来た。
「よし」
僕は思わず声を上げた。
「どうしたの、玲くん?」
「ん? 桜に頼んでいたことが功を奏してきた」
僕は微笑んだ。

