何とも事務的にあしらうニノだが、俺はふと…聞いてみた。
「ところでニノ。煌の鎖のことだが…これはずっとつけていないといけないのか?」
『お答えします。そうです。これはイヌに必要だからです』
「……。櫂が"煌"って言っていて、それが誰か認識出来るのに、どうしてわざわざ"イヌ"って言うんだろ?」
「簡単さ。ワンコだからだよ」
「何故、そうしたものが俺達にはない? 何故煌だけなんだ?」
『お答えします。イヌは元々…鍛錬目的で、何百キロという重さのある小道具を身に付け、重さ慣れしています。ですから、それはイヌのハンデです』
「重さ慣れって…何で、んなことニノが知ってるんだ? 玲、どこまで俺の個人情報流したよ?」
「ワンコ…何百キロって何だよ…」
翠が引き攣った顔でぼやいている。
「なあ…ニノ。俺の情報ってさ…どうお前に伝わってるんだ?」
何故か、自分の情報が気になるらしい煌がそう聞けば。
『お答えします。来る者拒まずのネオン街の発情駄犬。同じ香水女は相手にせず、自分の欲さえ一方的に満たせば…「もういい、もういいッッ!!! 玲の奴~~ッッ!!!」
「ねえ、紫堂櫂。俺…意味判らないんだけど?」
「………。そうだな、俺も判らなかった」
仕方ないから、話を合わせておこう。
「どうせどうせ俺は…逃げてばかりの本能のオスで、人としてはひでえ奴かもしれないけど、いいトコ何もねえかもしれねえけど…」
ああ…煌がいじけてしまった。
『お答えします、イヌ。上には上がいるので安心して下さい』
煌が拗ねたような顔で、iPhoneを見つめている。
『お答えします。世の中には、労働法に明らかに違反していることを知りつつ、べらべら喋って笑いながら、休みなしで徹夜を強いて無理難題ばかり言う色つきも居ます。高額の残業代やマッサージをすれば許されるものではありません』
「あ? 色つき? 徹夜? 残業代? マッサージ? お前…どんな宮仕えしてるよ?」
『お答えします。それは秘密です』
「お前…色々苦労してるんだな…」
『お答えします。優しさが身に染みる今日この頃です』
「機械の世界も大変なんだなあ…。って、ニノは自意識があるのか? 凄いや!!」
「なあニノ。白い王子様なんてどうよ? 顔よし頭よし。料理も出来て器用だし。何より優しい(みたいだ)し、機械に滅法強いんだ。主人より恋人にしたら癒されると思うぞ?」
意地悪く笑う煌が、視界に映る。
『お答えします。10歳で薬盛られ、泣きホクロ武器の肉食女に"ハジメテ"を食われ、更には歯抜けの庭師にも襲われかかった、笑ってばかりで心を隠し続ける、隠れ超肉食はタイプではありません』
「「「………」」」
玲…。
お前に同情する…。
その…何だ…まあ、イロイロと。

