「イヌ語、イヌ語だって!!! あははははは!!! じゃあこれからは俺が"hisiri"に…」
『お答えします。私はサル語も得意ではないので、アラビア語で話して下さい』
途端、翠がキーキー怒り出した。
「サル語って何だよ!!! しかも!!! 何でワンコは英語なのに、俺はアラビア語だよ!!! ひどい差別じゃんか!!!」
「小猿…お前、英語喋れるのか?」
「んなわけないじゃん。俺、国語だってまともじゃないのに」
俺は思わず笑ってしまった。
俺が話しかけたら…hisiriは、俺を何に例えて拒むのか。
少し興味がわいた。
だけど…ただ拒まれるのも癪だから――
「Binti,Tafadhali zungumza na mimi」
(お嬢さん、私とお話して下さい)
さあ、どう答える?
「櫂…お前、今何語喋った? 人間の言葉か?」
「い、今の言葉? 紫堂櫂語じゃなくて?」
応答がないhisiri。
やはり…解せないか。
別の言語を使おうとしたら…
『お答えします。
Sauti yako ni nzuri ingawa, ni nasty』
(貴方は声は素敵なのに、意地悪ですね)
「ワ、ワンコ…なんか聞こえて来なかったか?」
「俺…全然何言ってるのか判らないんだけど」
俺は笑った。
「中々だな、hisiri。試して悪かった。お前は…スワヒリ語も理解出来るのか。優秀だな」
『お答えします。お褒め頂き、恐縮です』
「うわ…hisiri…低姿勢だよ…」
「ええ!!? 小猿…スワヒリって、どんな動物よ?」
「なんか…爬虫類みたいなイメージあるんだけど」
「爬虫類って、言葉喋ったか?」
「喋るんじゃないか? 今は文明が発達してんだから」
「凄えな、爬虫類!!!」
なんで…爬虫類だ?
「いやこちらこそ。俺の声を気に入ってくれてありがとう。ああ、そうだ。お前と仲良くなりたいから、俺達のことは名前で呼んでくれ」
『お答えします。畏まりました。それでは…"櫂様"、"イヌ"、"サル"で』
「俺はイヌじゃねえってば!!!」
「俺だってサルじゃないよ!!!」
『お答えします。イヌとサル、煩いです。櫂様、それでは私のことは…"ニノ"とお呼び下さいませ』
ニノ?
「お前…ニノっていう女なのか?」
煌が代表して聞くと、
『お答え致しかねます』
「ねえ…ニノは日本人? 外人? ハーフ? 何歳? どんな顔? 綺麗なの?」
『お答えします。私のプロフィール公開は、仕事に入っておりません』
「「「………」」」

