シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



「黒い塔の出現時もそうなんだけどよ、どうも俺達…その素材関係で、変な音が聞こえるらしい。こう…脳味噌掻き回されそうな、小猿の声より数百倍も甲高い…超音波みたいな音」

「ワンコ…なんで俺の声を比較で使うんだよ…」

この2人以外、そんな比喩に該当する音は聞き取れておらず、平然としている。

………。


音が聞こえたタイミング。

煌達が耳を押さえた直後に、枷は縮まった…そう考えれば。

2人が聞き取った音が、枷を縮める原因だったのか?

音が、物理的な変化を促したと?


――黒い塔の出現時もそうなんだけどよ、


同じなのか?

黒い塔と音は…関係があるのか?


俺が思い耽る寸前、情報屋の声が俺を現実に戻した。


「そや。皆はんが道に行っている間、ひーちゃんとクマは此処で待ってる定義(ルール)なんや。くっついていけば…またグリーンカード貰うことになるさかい、それは堪忍な。

ウチらが行けない分、"hisiri"を作動させときますさかい。何かあれば、"hisiri"がヒントくれるはずや」


「"hisiri"?」


「そう、音声のみで理解してくれる有り難いお方や。あ。皆はんiPhoneを…おおきに。ちょいちょいと。これで大丈夫や。一応今は櫂はんのものを代表して起動させ、ワンワンはんや翠はんのものは、櫂はんの共通受信機(レシーバー)にしときましたわ。

全部の"hisiri"作動させても、誰が誰の"hisiri"かこんがらがるだけやろうて。まあ一番大変なのは"hisiri"…いやこっちの話や。

何かあれば、"hisiri"に言葉で聞いてみてや。答えられる範囲で、答えるさかいに」


「…なんか、すげえ奴っぽいな、"hisiri"…」


褐色の目は好奇心にきらきらしていて。

その体が突如、不自然な角度で止った。


「小猿、鎖引くなよ!!! 体傾くじゃねえか!!!」

「俺さ…昔からワンコ飼いたかったんだよね」


じゃらじゃらじゃら…。


「小猿、俺ワンコじゃねえんだって!!! お前、ただ怖いから…鎖で遊んで紛らわそうとしてるんだろ」


「ち、違うよ!!!」


じゃらじゃらじゃら…


「では、皆はん。今から…1時間以内や。時間などは"hisiri"が教えてくれるはずやけど…皆はんも時間は気にしておいた方よろし」


そして俺達は、左の道…『攻撃を禁ず』の道に、奇妙な枷つきで進んで行った。