シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



「何言うとりまんねん。意味があるからついてるんや。ワンワンはん、お気に召さないのなら、色違いに…オレンジ色もありま…「黒でいいよ、もう!!」


鎖がついているのは煌だけで、俺と翠は…"輝くトラペソヘドロン"の素材のみの、高さが3cmほどのシンプルの環(リング)状のものだった。


だけどこれ…。


「でかすぎない?」


翠の言う通り…大きすぎるのだ。

手足枷も首枷も。


すんなり入ってしまうが、すんなりぬけてしまう。

これなら枷の意味がない。


「ああ、ええんや。はい、皆はん。ちゃんと5カ所にそれつけてや? ワンワンはん、ぶちぶち言わず…ああ、鎖を引き千切るのはあかん!! …ま、千切れないやろが。用意出来はったな? よしじゃあ…いきまっせ?」


そう言うと聖は、懐から出したiPhoneを弄くった。


何故に…iPhone?


「「う、お、が…!!!」」


途端耳を押さえて蹲(うずくま)った煌と翠。


「おい、どうした?」


慌てて俺も身を屈めた途端――



「!!!!?」



大きい枷が…収縮したんだ。

肌に食い込む寸前の大きさまで、突然縮んで…動きを止めた。


コンコンコン。


指で叩いてみれば、硬質。

そうだろう、この素材は…かつての"約束の地(カナン)"において、緋狭さんと氷皇と…そして俺達全ての力を用いて剥がれたくらい頑強なもの。


今でも、外そうと力任せに引っ張ってみてもぴくともしないんだ。

俺がかつてつけられた…あの枷のように。


あの枷は偃月刀でのみ斬れたはずで――


伸び縮み出来る、軟質な素材などでは決してないんだ。


じゃあ何で、今、形状が変化した?

変化出来たんだ?


そんな疑問は湧くけれど…


目の前で苦しんでいた2人が、息を吹き返したように…深呼吸をしているのを見れば、そちらの方が気になってしまう。


両耳から手を離しているが、顔つきは…げっそりしている2人。

"何か"があったのは明白だ。


「煌? 翠? 大丈夫か? どうした?」


「ああ、この仕掛けでも…ワンコとサルには、"音"が聞えはりまっか。いやいや…お2人は、特異な周波数をよく拾う、ごっつうええ耳しとりますな~」


音?


「煌、翠。音が聞こえたのか…?」


そう聞くと、2人は疲れ切った顔で頷いた。