「何言うとりまんねん。意味があるからついてるんや。ワンワンはん、お気に召さないのなら、色違いに…オレンジ色もありま…「黒でいいよ、もう!!」
鎖がついているのは煌だけで、俺と翠は…"輝くトラペソヘドロン"の素材のみの、高さが3cmほどのシンプルの環(リング)状のものだった。
だけどこれ…。
「でかすぎない?」
翠の言う通り…大きすぎるのだ。
手足枷も首枷も。
すんなり入ってしまうが、すんなりぬけてしまう。
これなら枷の意味がない。
「ああ、ええんや。はい、皆はん。ちゃんと5カ所にそれつけてや? ワンワンはん、ぶちぶち言わず…ああ、鎖を引き千切るのはあかん!! …ま、千切れないやろが。用意出来はったな? よしじゃあ…いきまっせ?」
そう言うと聖は、懐から出したiPhoneを弄くった。
何故に…iPhone?
「「う、お、が…!!!」」
途端耳を押さえて蹲(うずくま)った煌と翠。
「おい、どうした?」
慌てて俺も身を屈めた途端――
「!!!!?」
大きい枷が…収縮したんだ。
肌に食い込む寸前の大きさまで、突然縮んで…動きを止めた。
コンコンコン。
指で叩いてみれば、硬質。
そうだろう、この素材は…かつての"約束の地(カナン)"において、緋狭さんと氷皇と…そして俺達全ての力を用いて剥がれたくらい頑強なもの。
今でも、外そうと力任せに引っ張ってみてもぴくともしないんだ。
俺がかつてつけられた…あの枷のように。
あの枷は偃月刀でのみ斬れたはずで――
伸び縮み出来る、軟質な素材などでは決してないんだ。
じゃあ何で、今、形状が変化した?
変化出来たんだ?
そんな疑問は湧くけれど…
目の前で苦しんでいた2人が、息を吹き返したように…深呼吸をしているのを見れば、そちらの方が気になってしまう。
両耳から手を離しているが、顔つきは…げっそりしている2人。
"何か"があったのは明白だ。
「煌? 翠? 大丈夫か? どうした?」
「ああ、この仕掛けでも…ワンコとサルには、"音"が聞えはりまっか。いやいや…お2人は、特異な周波数をよく拾う、ごっつうええ耳しとりますな~」
音?
「煌、翠。音が聞こえたのか…?」
そう聞くと、2人は疲れ切った顔で頷いた。

