そして俺達は黒い服に着替える。
服といっても、黒いシャツに黒のジーンズ。
伸び縮みする素材ということは、身体を動かせられるのか。
気づけば煌がじろじろと俺を見ている。
「どうした?」
「いや…そう言えば櫂って、普段着…上は白系が多かったから、黒が珍しくてさ。ま、元老院への正装は黒だったけどさ」
「そういやそうかもな。玲が選ぶ服が白系が多かったから。そういうお前だって、珍しいよな、黒は」
「ん…。髪が目立つから敬遠してたんだ。今は…青を着るより遙かにマシだ。桜が居たら、被るなって怒鳴られそうだけど」
俺達は笑いあった。
桜…。
玲と芹霞を守ってくれよ。
「あははは、小猿…お前黒似合わねー」
「……。だから青にしたかったのにさ」
あどけない色を濃く顔に浮かべる翠には、無彩色は早かったのかもしれない。
俺は…昔を思い出しながら苦笑した。
俺も…早く大人になりたくて、黒に拘っていたっけな。
「着替え終わったみたいやな。そしたらこれもプレゼントや」
手にしていたのは、青い紙袋3つ。
何処から取出したのか判らない、怪しげな青い紙袋。
「左の道の必須アイテムや。両手足と首の5つにつけてや? これが櫂はんの分、これがワンワンはんの分、これが翠はんの分」
紙袋の中にあったのは――
過去、俺が幾度も不可抗力的につけられた経験がある…忌まわしき模様の枷。
漆黒に…走る赤。
あの黒い塔…"輝くトラペソヘドロン"の素材にて作られた…手枷足枷、そして首枷。
つまりは――
「力を禁じられるのか」
俺のぼやきに、聖は薄く笑った。
肯定するように。
「……おいアホハット」
紙袋を覗き込んで暫く黙り込んでいた煌が、口を開いた。
「何で俺の首枷…」
そしてそれを取出して…
「赤と黒の…2つの長い鎖がじゃらじゃらついてるよ? それにこのデザイン…どう見ても、」
それはどう見ても――
「首輪に繋がった…
犬の散歩用の"リード"じゃねえか!!」
俺も、そうとしか思えない。

