シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



そして俺達は黒い服に着替える。

服といっても、黒いシャツに黒のジーンズ。

伸び縮みする素材ということは、身体を動かせられるのか。

気づけば煌がじろじろと俺を見ている。


「どうした?」

「いや…そう言えば櫂って、普段着…上は白系が多かったから、黒が珍しくてさ。ま、元老院への正装は黒だったけどさ」

「そういやそうかもな。玲が選ぶ服が白系が多かったから。そういうお前だって、珍しいよな、黒は」

「ん…。髪が目立つから敬遠してたんだ。今は…青を着るより遙かにマシだ。桜が居たら、被るなって怒鳴られそうだけど」

俺達は笑いあった。


桜…。

玲と芹霞を守ってくれよ。


「あははは、小猿…お前黒似合わねー」

「……。だから青にしたかったのにさ」

あどけない色を濃く顔に浮かべる翠には、無彩色は早かったのかもしれない。

俺は…昔を思い出しながら苦笑した。

俺も…早く大人になりたくて、黒に拘っていたっけな。


「着替え終わったみたいやな。そしたらこれもプレゼントや」


手にしていたのは、青い紙袋3つ。

何処から取出したのか判らない、怪しげな青い紙袋。


「左の道の必須アイテムや。両手足と首の5つにつけてや? これが櫂はんの分、これがワンワンはんの分、これが翠はんの分」


紙袋の中にあったのは――

過去、俺が幾度も不可抗力的につけられた経験がある…忌まわしき模様の枷。


漆黒に…走る赤。


あの黒い塔…"輝くトラペソヘドロン"の素材にて作られた…手枷足枷、そして首枷。


つまりは――


「力を禁じられるのか」


俺のぼやきに、聖は薄く笑った。

肯定するように。



「……おいアホハット」


紙袋を覗き込んで暫く黙り込んでいた煌が、口を開いた。



「何で俺の首枷…」


そしてそれを取出して…


「赤と黒の…2つの長い鎖がじゃらじゃらついてるよ? それにこのデザイン…どう見ても、」


それはどう見ても――


「首輪に繋がった…


犬の散歩用の"リード"じゃねえか!!」


俺も、そうとしか思えない。