正直…
玲くんが怖いと思った。
何だろう。
あたしは玲くんに対し、おかしな罪悪感を抱いてしまって。
思い出せない記憶を辿っていただけなのに。
別に疚(やま)しいことなどしていないというのに。
シドウカイニカンケイシテイルカラ?
「……。ああ、本当に…煌もちゃんと無事だったんだなって思ったら…胸が詰まっちゃった…」
それは嘘ではない。
あんた飼い主に何をしているのと突っ込みたい気もしたけれど、それでも煌は無事に生きて元気で動いている。
それに安心したのは紛(まぎ)れもない事実で。
「煌だけ…?」
すっと…細められる鳶色の瞳。
「ん? 勿論久遠達も。クマも。そして…紫堂くんも。よかったね玲くん。大好きな従弟が無事で」
そう笑うと、場は…何とも言えないような奇妙な空気が流れて。
「な、何?」
「神崎は…紫堂が嫌いなの?」
何で由香ちゃん、八の字眉なんだろう。
「好きも嫌いも…よく知らないし…。玲くんにとっての…敵…じゃないのなら。み、皆がそんなに紫堂くんを好きなのなら、あたしも友達になってみたいかな…って」
それもまた嘘じゃない。
何らかの形で、紫堂櫂があたしの過去に関係していたとして、あそこまで彼を傷つけたあたしに、友情の念を抱いてくれるかは判らないけれど。
玲くんを見捨てた事実は、例え玲くんが許していても、あたし自身はまだ許せないと思う。
それでも…画面越し、あんな幸せな顔を見れば、"約束の地(カナン)"で悲痛な顔をさせたこと…あたしはやり過ぎたんだという自責の念は強まっているのは事実なんだ。
せめてそのことだけでも謝りたい心境はある。
謝罪と同時に…紫堂櫂のあの幸せそうな顔も見てみたいんだ。
煌ではなく、あたしに向けて貰いたい。
あの顔…多分、玲くんも桜ちゃんも見ているはずで。
あれだけ紫堂櫂を痛めつけておいて、何もなかったかのように、今更皆と同じ立場になりたいと思うあたしは、自分勝手過ぎるかもしれない。
あたしもおかしいと思うけれど…あの動画は、あたしの心に微細な変化をもたらす程には、インパクトありすぎたんだ。
「友達…か。何とかしなくちゃね…」
そう玲くんの呟きが聞こえる。
悲壮感漂う顔に、あたしは口を挟むことが出来なかった。

