シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



――あたしは、玲くんが好きです。


あたしは…煌じゃない手を選んだのか。

そして煌は…あたしじゃない手を選んだのか。


何だろう、このぽっかり感。

玲くんという、あたしには過ぎた初彼氏サンを獲得して、何でこんなに喪失感を覚えるのか。


既視感。

昔も何処かでこんなことがあった気がする。


煌の手を振り払い、玲くんを選んだ気が。


………。

初めての"約束の地(カナン)"だ。



"拒絶"

そんな行為を、8年来の幼馴染に向けた。


そして煌は…


――うわああああああ!!!


………。

何で…ああなった?


あの時あたしは、玲くんとお試しをしていたはずで。

お試しなのに、どうして煌を傷つけた?

あたしはあの時、煌を傷つけても玲くんが好きだった?


憂いの含んだ切れ長の目。

翳りある端正な顔。


朧に浮かぶ紫堂櫂の顔。

どうしてこの時に思い浮かぶのか。


あたしが、あの時したかったのは――



「……芹霞?」


その声に顔を上げれば、


「ひっ!!!?」


玲くんの顔のドアップ。


「玲くん…心臓に悪いから。どうしてそんな至近距離で…」


心臓が口から飛び出てきそう。

美人顔のドアップは、迫力があるんだ。


「何度も何度も呼んだのに、反応がないから…」


玲くんはそう困ったように笑って、すっと…笑みを消した。



「ねえ…今。

何を思っていたの?」