「今の声……"白き稲妻"!!?」
「違う、あのおかしなリスだ。リスになにがわかる。放って置け」
そりゃあ僕はリスだけれど。
人間の姿でもリスの姿でも無視されたことに、カチンと来てしまった。
「ちょっと三沢さん。キーボード貸して!!」
この場にはびこる0と1は防御の力とした方がいい。
だとしたら、僕ができるのは、修正プログラムを手で作り出すことだけ。
多くのプログラムを1つの輪のように、効率的につなげられるものを作るだけ。
僕は憤然とぴょんぴょん跳ねると、キーボードが置かれた台に立ち、尻尾を揺らした。
「そ、その言い方…本当にあのリスか!?」
「ふん、口だけ達者なリスには変わらない。リスになにができる」
カチン。
「リスリスって……僕を、甘く見るな!!」
カタ……。
僕の手がキーボードのキーを押す。
手が小さい分キーを強く押して、さらに全身を素早く動かさないといけないけれど。
「白く稲妻」の名にかけて、意地でもやってやる。
両手両足、時には尻尾も使って。
くるくる、宙で回りながら僕はキーを叩く。
カタカタカタカタカタカタ、
カタカタカタカタカタカタ、
カタカタカタカタカタカタ。
決して、キーボードの上で、踊り狂って遊んでいるわけではない。
ちゃんとキーを打っている。
「うわ、なんだこのキーさばき。見えない…。リ、リスじゃないぞ、これ。やっぱり白き稲妻だぞ!!?」
「なにを言っているんだ、私の息子はリスじゃない!!」
カタ……。
僕は、父を見上げて、鼻で笑う。
「そんな時ばかり、息子扱い?」
「え……?」
「ふんっっ!!!」
カタカタカタカタカタカタ、
カタカタカタカタカタカタ、
カタカタカタカタカタカタ。
更にスピードアップ!!
ああ、なんだか…朱貴との特訓を思い出す。
あの時も絶えず僕は、体を動かし続けた。
あれでさえこなしたんだ、たかがキーボードを叩いてプログラムを作ることくらいなんだというのさ。
たくさん体使うけれど、全然苦にもならない。
多分特訓の成果だ。
くるくる回ったり、ぴょんぴょん飛び跳ねると、すごく気分がよくて、野生に還った気が――僕はあくまで人間だけど!! 別にリスとしての感想ではないんだけれど!!
人間とかリスとか以前に、僕は僕なんだ。
やはり腹が立つな。
三沢さんでも、すぐに僕だとわかったというのに。
どこで生きていようと、やっぱり僕は父が嫌いだ。
ネエ、ボクハココニイルンダヨ?
「よし、出来た。簡易的にだけど、全然違うはずだ」
ぜえぜえと息をしながら、僕は三沢さんにプログラム結合場所を指示する。

