「がはははははは!!!!」


そしてこのクマ!!!

このクマには正直俺も驚いた。



「げげげ!!! 誰だよ、このクマ!!!」



事情を知らねえ小猿が俺の背中に隠れた。

俺のデカい体は壁かよ。


「誰って…お前達知っての通りの、あのクマじゃねえか!!!」


「なんでクマがこんな"わさわさ"なんだよ!!!」


「小猿くん、"だから"クマなんだよ。しかし…すごいよな…。動物系イケメンの毛は、特殊仕様なのか」


ちらっ。


「遠坂…何で俺見るよ?」


「ワンコの毛は、特殊仕様かい?」


ちらっ。


「俺の毛? 俺の毛は天然オレンジだ!!! 文句あるのかよ!!!」


「ほうほう、ワンワンはんひんむいたら、あっちからこっちまで天然オレンジ…」

「むふふふふふ。そうか、こっちも天然オレンジか」


ちらっ。



「何変態染みて笑うんだよ、俺の毛は頭にあるだろ、何"下"見るんだよ!!!」


「ワンコは上でも下でも別にいいよ…。だけど本当にクマか…?」


小猿は、同じゲームをして、目を充血させて頑張ったクマに親近感を覚えていたらしい。

クマと猿は意外と仲良しなのか?


「がははははは!!!

朝になれば毛が伸びる。

これは人間としての自然現象だ!!!」


そう豪語するクマにとって、"自然現象"らしい。


とにかく――

驚きものだったんだ。


CGのように…時間が経つにつれ、ふさふさかつわさわさと、もさもさと黒々密集始めたクマの体毛。


流石の櫂も絶句していた。


「"わさわさ"だからクマなのか!!!」


「それ以外に何だと思ってたんだ、俺のこと。がははははは!!!」


「なあ…」


まだ警戒しているかのように、俺の背中に尚も隠れながら、小猿が首を傾げ、



「お前…

何処かで会ったことないか?」


そんなことを言い出した。