ゴォォォ。
激しくなる風が、地面の砂を巻き上げ、更に視界が悪くなる。
風の抵抗を、俺は力によって押し殺して煌と進むが、俺の力をもってしても風圧が強すぎる。
それでも、まだ嵐の…竜巻の"目"には程遠いだろう。
今からこんなものでは、中心部が近付いてくればどうなるのか。
それでも、俺の力と煌の力とで乗り切らねばならない。
「なあ、このだだっ広い景色のどこに緋狭姉がいるんだよ。しかも視界悪くて目を開けてられねぇ!!」
「目はあてにならないか。だったら、お前の鼻は…」
「櫂、俺は捜索犬じゃねぇんだって!! あぁ、こういう時、玲…本当の動物が居れば…」
ゴォォォ。
「おいおい、待てよ。竜巻…威力を強めて、動きがゆっくりになりはじめたぞ!? なんだよ、通過するならさっさといけよ、この野郎!!」
叫んだ煌が咳き込んだ。
「森があった付近に…まさか停滞するとか?」
嫌な予感だが…胸騒ぎがする。
もしも、竜巻の中心部に緋狭さんが巻き込まれてしまったら。
ああ、その前に俺達は緋狭さんを守りたいのに。
力を。
竜巻を消せないのなら、せめて押し返すだけの力を。
これ以上進行してきたら、緋狭さんも…変わりつつある硝子の塔にもどんな影響があるか。
「煌……俺が食い止めるから、お前は緋狭さんを……」
「馬鹿言うな、櫂!! お前手の血管切れているじゃねえか!! さっきから立て続けに力使い続けているんだから、お前の体に負担が……」
「増幅の力を使う暇があるのなら、一刻も早く緋狭さんを……」
「お前を置いて行けるかよ!!」
『………う』
「緋狭さんを優先しろ、煌!! このままでは共倒れになるぞ!? 俺達は緋狭さんを守るだけが目的では無いんだ、まだすべきことがあるんだ!!」
「わかってるよ、んなことは!! だけど俺は……!!」
「煌、今ここでもめている時間が勿体ない、早く――」
『……せよ』
………。
なんの…音だ?
『返……よ、……う』
これは……声?
緋狭さん……の?
「おい、どうした、櫂。きょろきょろと」
「…今、緋狭さんの声が聞こえなかったか?」
「は?」
ゴォォォ。
「緋狭姉の姿なんかねぇし、俺には聞こえねぇぞ、嵐の音がすごくて……あ?」
「聞こえたか?」
「………。まじか? どこにいる?」

