シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



俺は、地面に描いた9つの石碑の位置を眺める。


  ◎ 
四 九 二
三 五 七
八 一 六


今、俺達は◎の位置にいる。

俺の推測では、◎と"九"のふたつを取り囲んだ形で、スクリーンに覆われているのだと思う。


その中でチビは、各石碑がスクリーンに覆われた"偽の風景"を見ていた(と俺は思う)。

その中ではチビの奥義は、スクリーンに騙されてあさっての方向に発動されている可能性もあったが、元々チビは自分の記憶力だけで方向感覚や距離感を掴んで奥義を発動していたから、その点において偽の風景に騙されているということはなさそうだ。

少なくとも、要となる石碑の位置は完璧に把握しているはずだ。


だとすればチビが"騙された"のは、究極奥義となった…遙か上空から鉄の胡桃が途切れた位置を確認した以降になる。


途切れた場所が移動している。

それは、スクリーンの騙す"視界"に惑わされない、俺の耳も同じ事を感じている。


「ねぇワンコ。お前の耳と僕の確認とが同じだったら、どうなの? お前の耳だって、毎回のように途切れる場所が違うんだぞ? どこに正解があるのさ?」


ナリは小せえのに、ツッコミは大きいリスは、今まさにその難問に取り組んでいた俺に簡単に聞いてくる。

櫂や玲や桜相手なら、俺がその役目だったのによ。

……チビにとって俺は、あいつら並に頭が良い存在なのか?


「――って、聞いてもわからないよね。僕だってわからないなら、お前にわかるはずがないものね」


……とは思ってねえよな、チビ以下かよ、俺は!


あえてそこは口に出さずに、だんまりして大人の対応。

それこそが出来た男と言うものだ。

それを知ってか知らずか、チビなりにも色々考えているらしい。

ぶちぶちとした独り言の声音が、段々とヒートアップしていく。


「それに今の景色が偽もので、僕達を覆っているスクリーンに騙されているのだとしたら、僕が上から見ていた…ピカピカ走った僕の鉄の胡桃と石碑の位置も本当は違うの? え、そうしたらそれらも皆、毎回大移動してるの? 90度ごと、トコトコしてるの!? いつ、いつぅぅぅ!?」


痛いトコつくよな、チビのくせに。

俺は言った。

それはあくまで推測の域だけれど。


「動いているのは鉄の胡桃や石碑らオブジェではなく、スクリーンに外を包囲された、この九星の陣……地面そのものだ」


俺はチビに、地面を促した。

  ◎ 
四 九 二
三 五 七
八 一 六


「俺達は◎から動いていねえ。動いているのは、9つの石碑がある四角形の領域。90度ごとに回転している。それが順かランダムなのか、どのタイミングで動くのか、今も動き続けているのか、なにひとつわからねえけど」


今、俺が推測出来る単純明快な答えは、これしかねえ。