そう。
全く無関係に思えた俺とチビの感じた奥義の経路の途切れた部分は、目の前の真ん中を1の石碑とした見方と、それを右に90度ずれた方面の真ん中を1の石碑とした見方をしたものと、ほぼ同じ位置にあったんだ。
なんで、視覚と聴覚は90度もずれるんだ?
「ねえ、ワンコ……どうして僕達のところにはスクリーンがないのかな。他はたくさんなのに」
「他に行っているから余裕なくなったとか?」
「ん……」
悩ましい顔をしたチビは腕組みをして、尻尾をぱたぱた左右に揺らして考え中。
チビはなにか気づいたのだろうか。
リスに気づけて俺に気づけねえとはそれはいただけねえ。
俺もまたリスを真似て、深く考え込む。
「「大体、なんでスクリーンだ?」」
そう、周涅がわざわざ術を使ったのが、なんでスクリーンなんだろう。
別にスクリーンでなくともいいはずなんだ。
はっきりいって、俺達を攪乱させる九星の陣だとかいう大術を使うのであれば、もっと違う小道具の方がハクがつく。
しかもあの男、無駄にプライド高いから、こんなちゃっちいスクリーンなど使う方がおかしいんだ。
スクリーン――。
いつから俺達は、それをすんなり受入れたのか。
櫂は"約束の地(カナン)"で体験してるし、俺は芹霞と玲と桜と再会した、西早稲田のS.S.AだとかいうZodiacのライブ会場において、玲が出現した場所でありZodiacが消えたと思われる入口として、スクリーンの存在を自認している。
だから、今回この裏世界でスクリーンが出て来ても、過去に繋がる不可解な小道具として、心は謎めいたものに思いながら、今回もそういうものの出現もありだと、頭のどこかでは最初から許容していた。
もしも周涅が、わざとそれを利用していたのだとしたら?
スクリーンにしている意味。
それは電脳世界に繋がる特殊なものという意味ではなく、普通に極一般的に考えて、スクリーンというもの役目は、
映し出されるもの――だ。
そう、映像を。
そこには存在しない映像を、あたかもそこにあるかのように見せるために必要なもの。
それは、視覚を補助するものであり……騙すものだ。
周涅がそうした目的で、この小道具を術に割り込ませたのだとしたら。
スクリーンが現われた時点で、俺達の視覚は騙され始めているということ。

