シンデレラに玻璃の星冠をⅢ

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くりくりとした愛らしいチビの目が、鋭いものに変わった。

これぞ野生の動物、まるでえげつねえ玲の目を見ているようだ。

俺は耳で、チビは目で、どこが切れているのかを辿る。


だが――。


「駄目だ、都度変わる。しかも俺とお前のは一致しねえ」

「なんでだろう? なんで変わるんだろう?」


俺達は一緒に腕を組んで、同じ方向に首を傾げた。



俺は地面に、記憶する石碑を数字で、3行×3列に並べたものを書いた。


そこにチビが、小さな手で鉄の胡桃の軌跡を描く。

交わりあっているわけでもねえ、見事な一筆書き。


「で、今度は三箇所同時奥義で消えたのは、こことこことここ」

「あ? 俺の耳では、こことこことここだぞ?」


俺達は、再び同じ方向に首を傾げた。

少しぐらいの誤差ではねえんだ。

全然違う。


遡って答えを照らし合わせても、差が激しすぎた。


「なんで同じ奥義で、目と耳ではこんなに違うんだ?」

「しかも毎回、僕の技が消える場所も違うし」


「「まるで、どれも正解じゃないみたいだ」」


思わずぼやいた俺達は顔を見合わせる。


「「え?」」


消去法か?

俺とチビが感じていねえ場所が正解なのか?


しかし、3×3の中で俺達の記憶を繋ぎ合せれば、重複している部分はあるんだ。

トータル的に見れば、途切れたとされる部分は毎回散ってもいねえし、毎回重複をしているのでもなく。


「「わからない……」」


俺とチビは、同時に両手で頭を抱えた。


同じ目線で見るから答えが判らないのかもしれねえ。


「よく櫂は言っていたんだ。答えが出ないなら、発想を変えろと。だから発想を変えてみるぞ」

「うん、そうだね。変えてみよう」



発想……。

発想を変える……。


「「わからねえ……」」


また俺達は頭を抱えた。


駄目だ。

俺とチビを合わせた脳みそは小さすぎる。

もしくはからっからにひっからびているか。

チビは元気なくなった尻尾を引き摺るようにして、発想発想とぶつぶつ呟きながら、3×3の図の周りをぐるぐる歩き始めた。

つられて俺もぐるぐる廻る。


ふと、思ったんだ。

3×3は、数字を無視すれば、四方何処から見ても同じ配列だ。

それは当然のことなんだけれど、なんだか凄く気になった。


「あれ?」


チビも首を傾げて、俺の真向かいで地面に書いたものを覗き込んでいる。


「おや?」


俺も"それ"に気づき、右に90度移動してみれば、チビは今度はもといた場所の真向かいに回り込んでじっくり眺めている。


「なあチビ、これ……」

「うん、僕もそう思った」



「「耳と目が感じるものは、90度ずれてないか?」」