シンデレラに玻璃の星冠をⅢ




そして浮かび上がった難問とは――。


「チビの目で見たものが正しいのか、俺の耳が正しいのか?」


現状、確実に言えることは、


「攪乱させられているな」


正しい五感のどれかが乱されているということ。


しかも、俺かチビか、どちらだと言える決め手がねえ。


せめてもうひとりいれば多数決にでも出来るが、ふたりしかいないのに意見がわかれるのなら、何度確認に挑戦してみても、果てなく迎合することはねえ気がする。

これは直感のような確信だった。



「ああ、忘れてた!!」


俺の掌の上で、突如チビが飛び跳ねて俺に訴える。


「それぞれの石碑のところにスクリーンが密集して、皆が全然見えなかったんだ。どうしよう……」


俺はぎょっとして怒鳴った。


「そっちの方が重大じゃねえか!! 早く言えよ!!」


俺達は皆から無視されたのでもなく、放置プレイされているのでもなく、皆の視界がスクリーンに遮られて"見えない"だけだった。


そこまでの事態に陥っているということは。

あの櫂すらそんな状況だということは。


「皆の危機じゃねえかよ!!」

「ええええ!!? そうなの、僕の奥義が発動しないから!?」


途端に目が潤むチビ。


しかしふと思う。



「――だったら、なんで俺達は無事だ?」

「んんんん?」



俺とチビリスと共に首を傾げた。



ああ、なんでこの場にいるのが俺とリスなんだろう。

どんなに知恵を振り絞っても、小さな脳味噌から出て来るものはたかがしれねえ。

皆の危険を察知しても、救う手立てがねえなんて。

俺は、見殺しなんてしたくねえんだよ。



「――っ、櫂ッッ、返事しろ!!!!!」


しかし、天に向けて放った俺の声に返るものはなく。


「小猿、小小々猿、牛女!! チビサクラも、セリカもタマキもナナセも!!! 生きてるだろ!? 返事をしてくれッッ!!」


なにひとつ、戻る声はねえ。


俺の掌でカタカタ震えるチビリス。

小さい口を噛みしめて、両手をぐっと握りしめ、己の無力さを嘆いているようだ。

そんなのは俺だって同じ。


生きていれば、誰だって同じだろう。

あと少しで、周涅の術が破れるという時に。


「チビ、絶対皆を助けるぞ」

「うん。僕、諦めないよ」


俺達は頷きあった。


絶対、俺達は皆を助けて、有終の美を飾ってやる!!