そして浮かび上がった難問とは――。
「チビの目で見たものが正しいのか、俺の耳が正しいのか?」
現状、確実に言えることは、
「攪乱させられているな」
正しい五感のどれかが乱されているということ。
しかも、俺かチビか、どちらだと言える決め手がねえ。
せめてもうひとりいれば多数決にでも出来るが、ふたりしかいないのに意見がわかれるのなら、何度確認に挑戦してみても、果てなく迎合することはねえ気がする。
これは直感のような確信だった。
「ああ、忘れてた!!」
俺の掌の上で、突如チビが飛び跳ねて俺に訴える。
「それぞれの石碑のところにスクリーンが密集して、皆が全然見えなかったんだ。どうしよう……」
俺はぎょっとして怒鳴った。
「そっちの方が重大じゃねえか!! 早く言えよ!!」
俺達は皆から無視されたのでもなく、放置プレイされているのでもなく、皆の視界がスクリーンに遮られて"見えない"だけだった。
そこまでの事態に陥っているということは。
あの櫂すらそんな状況だということは。
「皆の危機じゃねえかよ!!」
「ええええ!!? そうなの、僕の奥義が発動しないから!?」
途端に目が潤むチビ。
しかしふと思う。
「――だったら、なんで俺達は無事だ?」
「んんんん?」
俺とチビリスと共に首を傾げた。
ああ、なんでこの場にいるのが俺とリスなんだろう。
どんなに知恵を振り絞っても、小さな脳味噌から出て来るものはたかがしれねえ。
皆の危険を察知しても、救う手立てがねえなんて。
俺は、見殺しなんてしたくねえんだよ。
「――っ、櫂ッッ、返事しろ!!!!!」
しかし、天に向けて放った俺の声に返るものはなく。
「小猿、小小々猿、牛女!! チビサクラも、セリカもタマキもナナセも!!! 生きてるだろ!? 返事をしてくれッッ!!」
なにひとつ、戻る声はねえ。
俺の掌でカタカタ震えるチビリス。
小さい口を噛みしめて、両手をぐっと握りしめ、己の無力さを嘆いているようだ。
そんなのは俺だって同じ。
生きていれば、誰だって同じだろう。
あと少しで、周涅の術が破れるという時に。
「チビ、絶対皆を助けるぞ」
「うん。僕、諦めないよ」
俺達は頷きあった。
絶対、俺達は皆を助けて、有終の美を飾ってやる!!

