そしてふさふさな尻尾を大きく揺らし、凛々しくも思える顔で俺を見た。
「よし、僕の準備は……」
「支度遅えよ。ほーら、いけっ!!」
「うわわわわわ、僕OKサインまだ出して、うわわわ…あひゃ、あひゃひゃひゃ、げへ、げへへへへへ」
叫ぶチビは、次第に…リス、いや玲らしからぬ変な笑い声を発して、空の彼方に飛んでいく。
………。
俺達は、決して"高い高い"で遊んでいるわけではねえけど、緊張感の欠片もねえリスは、ひどく喜んでいるようだ。
「リスは高いところが好きなのかな」
リスの生態がよくわからねえ。
しかし隣の石碑までの距離はさほどではねえのに、奥義が中途半端に終わることについて、どこからも心配やブーイングが聞こえてこねえのはなんでよ?
それどころじゃねえのか?
けど、空だって明らかに暗くなって、轟音たてて地面が震えれば、どんな状況であれそちらに気が向かねえか?
俺達のこと気にならねえか?
え、俺達シカト?
放置プレイ?
だから俺達には、スクリーンも寄ってこねえの?
そんな時に聞こえてきたのは、チビの声。
小さい声なのは、最初より高い場所に飛んでいるんだろう。
「究極奥義~。ジャンピング~!!」
ゴロゴロ不穏な音をたてるあの轟音、あの恐がりチビは煩くねえんだろうか。
「サンダーボルト、アタッッ~~ク」
かなり高い場所にいるはずなのに、どうしてピカピカ光る稲光の犠牲にならないんだろう。
「え、え~と……」
忘れたな、新究極奥義名を。
「セだ!! "セ"で始まり"ンド"で終わるカタカナ四文字!!」
聞こえたかどうかは知らねえけれど、ほぼ正解のようなヒントを出してやれば、
「え~と……。そうだ。セコンド~~ッッ!!」
頭の中で、カーンと鐘が鳴り、いかついおっさんがタオルを投げる情景が思い浮かぶ。
「違うだろ……」
ツッコミどころのあるチビだ。

