シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



そしてふさふさな尻尾を大きく揺らし、凛々しくも思える顔で俺を見た。

「よし、僕の準備は……」

「支度遅えよ。ほーら、いけっ!!」

「うわわわわわ、僕OKサインまだ出して、うわわわ…あひゃ、あひゃひゃひゃ、げへ、げへへへへへ」


叫ぶチビは、次第に…リス、いや玲らしからぬ変な笑い声を発して、空の彼方に飛んでいく。

………。


俺達は、決して"高い高い"で遊んでいるわけではねえけど、緊張感の欠片もねえリスは、ひどく喜んでいるようだ。


「リスは高いところが好きなのかな」

リスの生態がよくわからねえ。


しかし隣の石碑までの距離はさほどではねえのに、奥義が中途半端に終わることについて、どこからも心配やブーイングが聞こえてこねえのはなんでよ?

それどころじゃねえのか?

けど、空だって明らかに暗くなって、轟音たてて地面が震えれば、どんな状況であれそちらに気が向かねえか?

俺達のこと気にならねえか?


え、俺達シカト?

放置プレイ?


だから俺達には、スクリーンも寄ってこねえの?


そんな時に聞こえてきたのは、チビの声。

小さい声なのは、最初より高い場所に飛んでいるんだろう。


「究極奥義~。ジャンピング~!!」


ゴロゴロ不穏な音をたてるあの轟音、あの恐がりチビは煩くねえんだろうか。


「サンダーボルト、アタッッ~~ク」


かなり高い場所にいるはずなのに、どうしてピカピカ光る稲光の犠牲にならないんだろう。


「え、え~と……」


忘れたな、新究極奥義名を。


「セだ!! "セ"で始まり"ンド"で終わるカタカナ四文字!!」


聞こえたかどうかは知らねえけれど、ほぼ正解のようなヒントを出してやれば、


「え~と……。そうだ。セコンド~~ッッ!!」


頭の中で、カーンと鐘が鳴り、いかついおっさんがタオルを投げる情景が思い浮かぶ。


「違うだろ……」


ツッコミどころのあるチビだ。