この部屋は床や天井に至るまで、今しがた朱貴が一面を壊したばかりの、あの忌まわしきトラペゾヘドロン素材で出来ているらしい。
その側壁に、まるで蜂の子のようにびっしりと並んでいる、30cmほどの円筒の瓶。
そのひとつひとつに、不可解な茶色の物体は入れられていた。
そしてその茶色い物体には、突き刺さるようにして各々細いチューブが取付けられ、それが円筒型の容器の内側にて接続され、外観から容器の下には、緑色のランプが忙しく点滅している。
まるで容器自体も、機械の一部であるかのように。
そのひとつひとつがかなり強い電流を放っているのだろう、辺りを見回す私の全身に、凄まじい量の電磁波を感じて、まるで感電したかのように肌がびりびりした。
私と同じようにあたりを見回す玲様なら、殊更強い電気を感じているに違いない。
そう窺った端麗な顔は――
「玲様?」
青ざめ、心臓に手を置いていた。
「玲様、発作が!?」
玲様は茶色い物体を見つめながら、私を見ようともせず、ただ気怠そうに頭を横に振った。
「違う。発作ではなく……」
玲様の目尻から、涙がはらりと零れ落ちた。
「心が痛いんだ。多分この容器に入れられているものは――…」
その時、後方に気配がした。
「そうだ。玲、お前の遺伝子を継ぐ者達だ」
横に並んだのは朱貴だった。
「遺伝子を継ぐ者?」
多分、私は判っている。
玲様が"共鳴"するわけを。
しかし、尋ねずにはいられなかった。
「これは、玲様の……」
「僕の子供の遺伝子が使われているんだね」
ぶるぶると震えている玲様の握られた拳。
「ああ」
朱貴はただひと言肯定すると、玲様から目をそらした。

