それは分裂を始めるかのように、3つに分離しようとするが――、
「は!!!!?」
またくっつきたいかのように、1つに縮まり結合を始める。
結合始めたかと思えば、また伸びて分離を……の繰り返しだ。
煌が叫んだ。
「離れたいならとっとと離れろ、くっついていてえのならくっつけよ!! お前らねばねばしている納豆菌のカタマリかっ!! いいのか、式神がねばねば扱いで!!」
その声に反応したのかどうかはわからないけれど、分離途中の3つのカタマリは、途端にそれぞれ一度大きくビクンと揺れ、そのまま曖昧すぎる外郭に、輪郭らしき定まった境界を作ろうとし始めた。
「頑張れ頑張れ、もう少し」
ぶつぶつと横から聞こえてくるのは翠で、煌の肩から下ろされ、地面で正座して両手を合わせて祈っている。やはり白目を剥いて。
そしてその3つのカタマリが完全な人型になる……までに至らずして、真ん中のものを吸収しようと、左右のものが取り合っているような、奇妙な動きに変わっていく。
「ええええ、なんで!? そのままそのまま3つ、3つ!!」
また翠が白目で祈り込む。
翠の中では、作りたい式神のイメージは固定化されているらしいが、中々それを顕現するのは難しいらしい。
しかし、翠の努力もあり、その3つのカタマリは奇妙な動きを繰り返しながらも、ぼんやりと……頭部と四肢らしきものが出来てきたようにも感じる。
あくまで主観の話で、まだ"ヒトデ"段階だ。
「行け行け、3つ!! 式神ちゃん、頑張れ!!」
翠の念の甲斐あってか、やがて"ヒトデ"の形状は、ジンジャーマンクッキー……大の字になった人型クッキーのような形態となり、それに膨らみがつくと同時に、それぞれ服らしきものと、頭髪らしきものがはっきりしてきた。
左側のピンク色のスカートらしきものを着ているのは、黒髪。
真ん中のズボンを穿いたものは、ひとつに束ねた黒髪をぴょんと外向きにカールさせ、右側の白いスカートを着ているものは、煉瓦色の少しうねった短めの髪をしている。
そして、真ん中のものを取り合うような動きは止まらない。
だがやがて、真ん中が左に傾いてくっつこうとした途端、まるで怒りでも体現しているかのように、右側がぴょんぴょん跳ねながら、真ん中を引き剥がそうと力業に出た。
真ん中がそちらに傾けば、負けじと左側も同じ事をする。
真ん中の両手が引きちぎれそうだ。
黒髪二体、煉瓦髪一体。
真ん中一体を取り合うその動きは、まるで三角関係の修羅場。
妙な既視感に、俺は目を細めた。
「ぐあああああ、イライラする!! 小猿、お前なに遊んでいるんだよ!?」
「俺じゃないんだよ、あいつらが勝手に、なんで、なんで!!?」
翠がはっきりと心に描けるそのイメージの根源。
――……三体作るのなら。ひとつは、芹霞を忠実に再現しろ。
もしかして。

