シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



「ほほほ。紫堂櫂とやら。ならばわらわも剣鎧と共に、力を貸そうぞえ?」


目の前に吉祥がふわふわと浮いてきて、翠の顔でにっこり微笑んだ。

中々に話がわかり、穏やかな性格をしているらしい。


「それはありがたきお言葉」


深く頭を下げた俺に、なにか言いたそうな煌の気配を感じたが、その前に翠がやってきたようだ。


「おお、わらわの主翠殿。なんなりとわらわに命じてたもれ。微力ながら、助力いたそう。わらわは剣鎧のような戦神ではあらぬが、こうして邪気を祓い癒すのは得意ぞえ?」

「ああ、十分だよ。よろしくね、吉祥ちゃん!!」


嬉しそうな翠に、同じ顔で微笑む吉祥。


「おお、翠殿も、癒してさしあげようぞえ?」

「え……ええええ!? すごい、満腹感が……!!」


「櫂、櫂…!! "ぞえぞえ"サクラと、癒し=満腹の小猿に、俺の代わりに突っ込んでくれえええ!!」


忘れてはならない。

こうして吉祥が力を放ち続けているということは、それを使役している翠の精神力も同時に消耗し続けているということ。


満腹感が体力を回復しているように思えても、多分それは一時的なもので見せかけだろう。時期がくれば、それも合わせて翠にのしかかってくるだろう。


「これ、剣鎧。お前も力を消耗していると見える。わらわが癒そうぞえ?」

「なんと……!! ふむ、これならひと暴れできますな!! さすがは吉祥様!!」


翠は、式神を出し続けるだけでも大変なはずだ。

それに、護法童子は攻撃特化型だから、攻撃しなければ無駄に翠の精神を食らうことはないだろうが、この吉祥が防御型というのなら、主を防御し続けようとすればするほど、その主はより疲れ果てていく。


式神の愛情は、術者を蝕むだろう。


そんな存在を、あと三体も作らせていいのだろうか。

そんな迷いが生じたのを、まるで見透かしたような翠の声がした。


「紫堂櫂。俺がんばるから。だからがんばらせて。今まで俺、言うこと聞かない式神ばかりしか作れなかったから、少しずつ…進歩はしていると思う。あと三体、俺がんばりたい」


強い意志の藍鉄色の瞳に、俺はやめろとは言うことが出来ず。


「護法といい吉祥といい、お前は大きな力を秘めた式を生み出せるようになった。だが、今必要としているのは、それだけではなく、お前自身の力もだ。余力だけは残せ。翠が倒れれば、元も子もない。お前がいてこそのものだと自覚して欲し……なぜ泣く?」

「いや…皇城では、死んでもいいから式を生み出せって教えられるから。昔の兄上や朱貴以外はね。父上ですらそうだったから。……よし、じゃあ今度は力の配分考えて、同時三体いってみる!!」

「泣いて笑っていきなりか、お前チャレンジャーだな、小猿」

「僕のように猿も成長しなきゃね」

「頑張ってくだされ、翠殿」

「ほほほほほ。吉祥も、応援しておりますぞえ?」