円環状に続く途切れない道の先に、終点があるというのなら。
それは左右にぬけた処にある可能性が高い。
変則的には並んでいるけど、同じ外観のドア。
そこが怪しいと思った僕達は、1つのドアを開けただけで、立て続けに目にした2つの部屋のように、他の部屋も同じ構造だと思ってしまった。
そして中心部に部屋が密集していると思えばこそ、その限られた隙間に同じような空き部屋が並んでいるのだと思い込んでしまった。
シンプル過ぎる建物内観だったからこその、簡単すぎる心理トリック。
しかし氷皇から渡された2枚目の紙には、繋げればひとつの歌ではあったけれど、言葉のきりがいい悪い関係なく、わざわざ8行に区切って書かれてあった。
そう上下に。
それを意図的に考えるのなら。
水平状に答えがあるのではなく、垂直状に答えがあると、
つまり階層が8つあるのではないかと。
僕はそう思ったんだ。
そして、現在地点がその8行のどの行に相当するかはわからないなりにも、もしもここに由香ちゃんの歩幅で5歩目にドアがあり、さらに3歩目でまたドアがあり、更にその先にも暗号に指定された距離にドアがあるというのなら、ここは行の位置が示す最上階である可能性が高い。
「師匠あったぞ!! 5歩目と3歩目にドア、そしてその一歩先にも、その先にも。……ん? 結局4つ並んでドアがあるけれどそれってOK?」
僕は紙を見て確認する。
γ↑Sμγ→SμK◎γ←SμCH□R●CH◇γ□
「OK。あってる」
まだ起点から11歩の範囲内。
「この8行、上下階というより……ここのフロア全部のドアの並びをただ分断しているだけではないの?」
芹霞が不思議そうに聞いてくる。
だから僕は桜に聞いた。
「桜、一周してきた時、ドアの数はいくつだった?」
「はい、29個です」
「葉山、歌いながら数えていたのかい!!」
「桜は観察眼が鋭いからね。……ああ、邪気眼の親戚みたいなものさ、うん、そういうことにしてよ。話戻すけど、8行分の暗号に現われる記号……アルファベットで「O」にあたるものは、全部で33個。まず数が合わないし、ちょっと続き歩いてみようか」
再び芹霞が、途切れた続きから歌い出し由香ちゃんが歩いたけれど、2行目の記号の位置にドアはなかった。
つまり、1行目として与えられた情報は、フロアの何処か…起点から11歩目内のものという断片的なもので、それがピックアップされている意味を忘れてはならないだろう。
それこそが階段を示すものだと、僕は思うんだ。
ただ、まだ僕の推測の域だけれど。

