シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


「師匠、これはなんのプログラムだい?」

「フェイクの監視画像つくり。監視カメラが映しているものを一旦画像として切り離し、それを画像化して本当の監視カメラへ直接すりかえる。つまりいつ見ても、監視カメラの映像は一定、変わることがない」

「セキュリティ認証はどうするんだい?」

「ああ、美咲さんが認証している時、僕の力で少しずつセキュリティレベルを下げていたんだ。加えて人感知のセンサーを今から無効にするから、大丈夫だと思う」


カタカタカタ…。


「師匠、終わったよ」

「よし。そしたら今度は僕自身が、ここのネットワークに入るために中継するから、「GO」ボタンを押して。桜はそれより一秒ほど早いタイミングで、監視カメラの主電源回線を引きちぎれ。サーバーセキュリティーをそちらに目を向かせて、僕が置き土産して平定する。いいね、桜、由香ちゃん、僕のタイミングだ。じゃあ行くよ、3、2、1……」


なにがなにやらわからぬ間に、それぞれがそれぞれの仕事が終えたのが「0」カウントから2秒後くらい後。

カウントダウンを含め僅か5秒でことは終えたらしい。

見ているだけのあたしとしては、なにが変わったのかよくわからないけれど、玲くんはご満悦みたいで、


「じゃあ行くよ」


あたしを抱いたまま、すたすたと足早に歩き始めた。


無言のセキュリティ認証機械を通過。

化けネコ様を怒らせた監視カメラも通過。

由香ちゃんがあかんべを向けても、無反応だ。


「凄いや師匠。師匠がいればどんな所でも盗みに入れそうだよ」

「最新のセキュリティ事情を調べるために、やってみようか。桜も入ってよ。お前は鍵破りはお手のものじゃないか」

「い、いつも鍵を破っているわけでは…」


朗らかに、だけど小走りに。

至って平穏にあたし達は突き進む。


ぽかんとしたままなのはあたしだけ。

いや、化けネコ様も不思議そうな顔で監視カメラを見ている。

攻撃されたら反撃でもしようと息巻いてでもいたのか、なんとなく拍子抜けしているような表情を見せ、美ネコは小首を傾げている。


なんだか似ている、あたしと化けネコ様。

人によって運ばれる、役立たずぶり。

いや、あたしは抵抗はしていて、自分から進んで誰かに運ばれたいとは思ってはいないけれど。


だけど傍目では同類だ。

これぞ同じ穴のムジナ…ならぬ同じ穴のネコ。


「にゃん」

皆に聞こえないようにして、鳴いてみたら…人として無性に空しくなった。