「本当はね、私はあの男の術から逃げる手段として、貴方を選んでいたのよ」
不可解さを強調させたのは、その行動だけではなく。
口から出てくる言葉も同様に。
「だけどまあ……こういうのもいいかもしれないわね。もう嫌っていうほど、貴方達には私の情けない姿を見せてきてしまったし」
美咲さんはあたしの体を、両腕で押すようにして突き放した。
そして乱れた髪に手を差し込み、そこからまとめ髪を作るためのやけに長いピンを取り出した。
ぱさりと、彼女の髪が視界に舞い散る。
「玲。ティアラ計画は、形態を変えて今なお進められているの。最初とは…意味を違えて」
「え……?」
玲くんは、訝しげに聞き返す。
「だからこそ、貴方にとって希望と……救いとなる可能性があること、どうか忘れないで。
本当に――」
美咲さんの目から涙が零れ落ちた。
「本当に、苦しませて――
利用してしまって――。
ごめんね、玲」
そして――。
「貴方は愛されているわ。
この世界だけではなく、電脳世界にも――
貴方を愛するもの達の愛が溢れている。
彼らは、貴方の味方よ?」
美咲さんは。
握り締めたそのピンを、喉につき立てたんだ。
深く――。
抉るようにして――。

