シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



周涅?

今逃げてきたばかりの周涅さん?


え、あたし達を追いかけてこないのは、周涅の術にあたし達が囚われているから?



真っ赤な目で一番に怒ったのは――


「シャアアアアア!!!」


なぜか化けネコだった。


この化けハゲネコさまのお怒りポイントはよくわからない。


「師匠は、七瀬と共に夢の彼方だったから、覚えがないのか」


由香ちゃんは納得したように頷いた。


「朱貴の加護で葉山が如月と周涅の元に行ったから。七瀬が如月と駆けつけたから。もしくは、あそこに全員が集合して周涅の力に勝ったから。…あの時、どの要素が功を奏したのかはわからないけれど、今ボク達の打開策として、これらのうちとれる方法はあるかい?」


朱貴や紫茉ちゃんがいなければ、櫂も煌もいない現状。

ここから外に出たいのに、術者はその外にいる現状。


はて?


玲くんがぼそりと言った。


「危険察知能力に優れたイヌが、裏世界から飼い主連れて戻ってきて、周涅の妹使うかして周涅を見つけ出して、この術を破るなんて…」

「玲様。そんな高尚なことは……幾らあの現実離れしたふざけたイヌでも無理かと」

「……だよね」


玲くんと桜ちゃんの会話に、全員が項垂れた。


「道がわからないなら、この世界を壊せばいいか?」


突如青く光りだす玲くんの体。

しかしその光が薄くなり消えた。


「どうしたんだい、師匠。難しい顔をしているけど」

「いつも以上に…力の放出の際の、0と1の必要量と僕の精神力と体力が失われる」


「玲様。ではこの空間が……」

「黙って歩かされ続けたことにも意味があるのだろう。僕の力を縛るような仕掛けが、多分あったんだ。歩く……方角か? 陰陽道…可能性的には、凶の方角へずっと歩かされていて、その悪影響なのかな。

しかし、今さら方忌みや方違えをしても…。第一僕はそこまで陰陽道に詳しくないしな…」


玲くんがひきこもった世界で、なにかの呪文を唱えているようだ。


「由香ちゃんの邪眼は?」

「困ったことにお眠りさ」


由香ちゃんは八の字眉で肩を竦めた。



そんなときだったんだ。



「方法はひとつある」



それは天啓のように。


突如割り込んだのは――、

玲くんの肩の上にいる美咲さんだった。


ふらふらしながら、自力で立ち上がると、血の気の戻らない真っ白な顔であたし達を見渡した。


「だけどその前に。これだけ言わせて」


そして美咲さんはあたしに笑いかけたんだ。

あたしは反射的に、少し身構えてしまったのだけれど。


「玲の相手が貴方でよかった」


そしてあたしを抱きしめたんだ。