シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



「あああああああああ!!」



吼えた俺は偃月刀を巨大なものに顕現させて、スクリーンを斬って斬って斬りまくる。



再生出来ないほどに斬ってしまえば。

忍者達を飲み込めないほど数を減じれば。


「忍者達、逃げろ!!」



しかし、あちこち絶叫は続く。




「逃げたくなくても、逃げろ!!」



逃げるのも強さだと、負けたわけではないと、どうかここは納得してくれ。



俺ではねえ、発砲音も響く。

ああ、この悔しさは、俺だけじゃねえ。



そんな時、ピーという口笛が響いた。

誰かが退却の合図でも出したのか。


「くっそ!!!!」



俺は偃月刀を目茶苦茶にふるった。


破けて、再生されるスクリーンに。

まるで狂ったように。



「煌!!!」


そんな時、頬を叩かれてはっと我に返る。


焦ったような面持ちの櫂だった。

後ろには小猿と小小々猿も心配そうに立っている。



「お前、大丈夫か!?」

「俺より……あいつら……」


息が上がる。

込み上げる感情に。


コンコンコン。


そんな時、頭上をノックされた。


「落ち着けよ…。気持ちはよく判るから。僕だって……ドジョウすくいの秘伝を、体で教えこんだ弟子達なんだ…。ぐすっ…」


……。


不本意ながら、少し興奮が落ち着いてきたらしい。



「煌、彼らは睦月の合図でひとまず引いた。スクリーンの動きがおかしいんだ。今は人間をどうというより、塔を飲み込もうと中心に向けて縮小している。俺達は"見捨て"られたようだ。スクリーンは向こう側に移動しているだろう。

緑皇の結界が薄れ、玲の親父やクマの仕掛けも功を奏していないのか、ここぞとばかりに裏世界の要たるあの塔を壊そうとしている」

「どうすんだよ……」


際限なく増え続けるスクリーン。

俺は銃を取出し、銃弾の数を数えた。


「3発……」


「俺はあと2発。翠は?」

「ワンコと同じ」

「僕はあと2発!!」

チビの弾は果たして数に入れていいものなのか。


「合計9発で、あのスクリーンを仕留められる?」


……すげえ、小猿が暗算してる。

それこそチビみたいに指使わねえと、俺には無理な話。



「……ねえ、顰めっ面してなに悩んでいるのさ」



チビリスが、逆さになって俺の目を覗き込んできた。

まさか猿より劣る計算力を嘆いていたとは言えねえ俺は、


「このスクリーンをどうしようか考えていたんだ!!」


必要以上に声を荒げてしまったけれど。


「この白いのを消すのが難しいなら、この白いものを作った犯人の"クリ"をなんとかすればいいんだろう?」


何処までも玲を彷彿させる瞳の色で。