シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



呼吸が乱れてきたのは、精神的だけではねえだろう。

俺の増幅の力も、タイムリミット。


だからなのかは判らねえ。


複数に重なる絶叫に、俺達は慌ててその方角に顔を向けた。


「ねえ……。あのスクリーン…。今まで斬り付けた忍者に対して反撃していたけれど、動いて攻撃に出ていない!?」

小猿の引っ繰り返った声。



ああ、やり始めた。


動いている――。


外部から内部へと。


迷宮のように複雑に錯綜した道を作り、そしてその道に彷徨する人間達を、スクリーン越しから……


「ねえ……忍者達をスクリーンの中に取り込もうとしてない!!?」


スクリーン内部に引き摺り込もうとしている。


まるで人食いスクリーンかのように、噴き出る血飛沫の派手さは、俺ですら吐き気を催した。


1箇所ではねえ。


まるで物質界の血肉は不必要とでもいうように、その形を砕きながらスクリーンに吸い込まれるのを見て、俺達の体が動いた。


もう駄目だ。

もう時間だ。


偃月刀で、取り込まれ中の忍者を救い出そうと、偃月刀でスクリーンを抉れど、感じた手応えは…スクリーンの貫通。

終わらねえ、惨劇。


火で燃やしても、スクリーンが燃えるだけ。


そして消えたスクリーンには、また新たなスクリーンが現われる。


無間地獄。



バアアアン。


溜まらず発砲しちまう俺は。


生き残りをかけた特殊な弾丸を、もう助からねえ忍者を救い出したいために使ってしまう俺は。


やはり馬鹿で愚鈍な男かもしれないけれど。


例え助け出した忍者が、頭が失われていても。

人としての輪郭が、奇形以下の無残なものになりはて息絶えていても。


それでも見過ごすことが出来なくて。



宴会を思い出す。

俺を歓迎してくれた気のいい奴ら。

言葉の通じねえ、本当に硬い頭の持ち主で、叩き斬りたい衝動に何度もさせられたけれど。


最後は解り合えたはずの奴ら。


表世界を夢見て、櫂がなんとかしようと約束してくれて、まさにこれからという時に。



「こんな死に方、したくなかったろうな…」


どんな姿であれ、人間で。

太陽の元で生きたいという心を持つのは、おかしなことじゃない。


こんな"裏"で。

こんなおかしなことな事態に、わけもなく犠牲になって。



「悔しかったろうな…」



生き残る為の弾丸も持っていない彼らは、それでも自分達のこの世界を守ろうと必死で、生きる為に必死で――。


それを……


たかが皇城の男ひとりに目茶苦茶にされて!!