呼吸が乱れてきたのは、精神的だけではねえだろう。
俺の増幅の力も、タイムリミット。
だからなのかは判らねえ。
複数に重なる絶叫に、俺達は慌ててその方角に顔を向けた。
「ねえ……。あのスクリーン…。今まで斬り付けた忍者に対して反撃していたけれど、動いて攻撃に出ていない!?」
小猿の引っ繰り返った声。
ああ、やり始めた。
動いている――。
外部から内部へと。
迷宮のように複雑に錯綜した道を作り、そしてその道に彷徨する人間達を、スクリーン越しから……
「ねえ……忍者達をスクリーンの中に取り込もうとしてない!!?」
スクリーン内部に引き摺り込もうとしている。
まるで人食いスクリーンかのように、噴き出る血飛沫の派手さは、俺ですら吐き気を催した。
1箇所ではねえ。
まるで物質界の血肉は不必要とでもいうように、その形を砕きながらスクリーンに吸い込まれるのを見て、俺達の体が動いた。
もう駄目だ。
もう時間だ。
偃月刀で、取り込まれ中の忍者を救い出そうと、偃月刀でスクリーンを抉れど、感じた手応えは…スクリーンの貫通。
終わらねえ、惨劇。
火で燃やしても、スクリーンが燃えるだけ。
そして消えたスクリーンには、また新たなスクリーンが現われる。
無間地獄。
バアアアン。
溜まらず発砲しちまう俺は。
生き残りをかけた特殊な弾丸を、もう助からねえ忍者を救い出したいために使ってしまう俺は。
やはり馬鹿で愚鈍な男かもしれないけれど。
例え助け出した忍者が、頭が失われていても。
人としての輪郭が、奇形以下の無残なものになりはて息絶えていても。
それでも見過ごすことが出来なくて。
宴会を思い出す。
俺を歓迎してくれた気のいい奴ら。
言葉の通じねえ、本当に硬い頭の持ち主で、叩き斬りたい衝動に何度もさせられたけれど。
最後は解り合えたはずの奴ら。
表世界を夢見て、櫂がなんとかしようと約束してくれて、まさにこれからという時に。
「こんな死に方、したくなかったろうな…」
どんな姿であれ、人間で。
太陽の元で生きたいという心を持つのは、おかしなことじゃない。
こんな"裏"で。
こんなおかしなことな事態に、わけもなく犠牲になって。
「悔しかったろうな…」
生き残る為の弾丸も持っていない彼らは、それでも自分達のこの世界を守ろうと必死で、生きる為に必死で――。
それを……
たかが皇城の男ひとりに目茶苦茶にされて!!

