シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



そんな俺の杞憂をものともせず、櫂はその迷いない真っ直ぐな瞳を、小猿の肩に居る小小々猿に向けたんだ。


「護法童子。お前は、なにを感じていた?」


櫂は少し身を屈み、小小々猿の目線の高さに目を合わせた。


「お前は、外部からの……どんな力に惑わされようとしていた?」


それは意外な言葉で。


「ま、惑わされ…!? ゴボウちゃん、惑わされようとしてたの!?」


俺以上に驚いた小猿が、甲高い声をひっくり返した。

自分が使役している式神の状態を把握出来ねえってなによ?

小猿にはまだまだ課題があるらしい。


小小々猿としても、小猿の命令もないのに勝手にふらふらしていたのが心苦しいのか、小猿の顔で眉を下に垂らした。


「すまぬ翠殿。我は武神将、戦神。しかし、我の力及ばずして、この陣の術者の力に阻まれた。本来なら我がこの陣を吹き飛ばして、翠殿とそのお仲間を救うのが当然なれど、我にはせめて"方忌み""方違え"となるよう、力を張ることが精一杯で……。それも時間の問題と……」


「方忌みって…陰陽道の凶方を避けることだろ? 方違えって…方忌みを避ける方法だろ? なんで陰陽道が関係あるんだよ、ゴボウちゃん!! この気持ち悪いスクリーンの光景が、陣ってなに!?」


カタイミ…。

カタガタエ…。


なんか聞いたことがあるような…。


………。

あ、緋狭姉だ。

緋狭姉がそんなこと言ったから、"約束の地(カナン)"に運んだんだ。


小小々猿はまだ情けない猿の顔で、力なく言った。


「翠殿。この白い"すくりーん"とやらが構成しているのは、陰陽道の布陣。異空間を繋げるために、9つの石碑を打ち立て、それによって凶相を配置し、その場の気を乱して惑わせる"裏九星の陣"」


すると小猿が叫んだ。


「九星の陣って……周涅の得意な術じゃんか!! 裏だろうと表だろうと……そんな陰陽道の秘儀を使えるのは周涅しか知らないよ!!」


絶望的に――。