シンデレラに玻璃の星冠をⅢ




なんで玲が畏敬の念を示す電脳世界が、裏世界を攻撃してくるのかよく判らねえけれど、少なくとも似たような力を持つ玲の父親では、"説得"出来ねえ…そんな2世界の関係。


そして同じようなものを"約束の地(カナン)"で見た櫂は、それを凌いで此処にいるのだから、表世界は電脳世界に勝っているのかも知れねえ。


表世界>電脳世界>裏世界……?


だけど玲の父親は、表世界では電脳世界の恩恵を被れないからと裏世界にきたのなら、


電脳世界>裏世界>表世界……?


いやいや、戦い慣れしている裏世界の住人が表世界に繰り出したら、平和ボケしている表の連中なんてコロリだぞ?


……。

3者関係がよく判らねえ!!



「久遠の術は"形なきもの"を、固定化させて縛る術。だがここでは顕現した、既に固定化させたものが無効とされるのに、この銃は違うというのなら……」


そして残った銃弾を外して、掌に置いた櫂。



「問題なのは銃身ではなく、この銃弾だということ」



金色の、少し大きめの銃弾。

俺は銃弾についての知識はほとんどねえから、銃弾を見ただけで真偽は判別つかねえけれど。


「だけどこれだって、"固定化"されてるだろう?」

「ああ、薬莢ではな。だが恐らく、その中にあるものは――虚数だ」

「きょ、虚数?」


いけねえ、声が引っ繰り返ってしまった。


「ああ。0と1に関係がある上、"約束の地(カナン)"を爆破に追い込む威力がある…不可解な"虚数"を放つものだと思う。これもまた、初期の武器である…万年筆から姿を変えただけのものだ。進化した…といっていいのかよく判らないが」


視界に青い光を認めて、俺も取出した銃のトリガーを引いた。



バアアアン。



「うわわわわ!! 突然なんだよ!! 僕の巣を壊す気!!?」


その発射音に、チビが驚いて頭からずり落ちそうになったのを、俺は反対の手で摘んで元に戻してやる。


「いくら馬鹿な頭でも、壊れたら洒落になんねーだろ。縁起でもねえこと言うな」


揺らめく硝煙の向こう側。狙撃結果は櫂と同じく。

電子盤模様の人型は、光となり砕け散る。


武器としての威力は、普通の銃と大して変わらねえ気がするが…。

しかし特定のものに効果があるのなら、普通の銃弾とはやはりなにか違うのだろう。