なんで玲が畏敬の念を示す電脳世界が、裏世界を攻撃してくるのかよく判らねえけれど、少なくとも似たような力を持つ玲の父親では、"説得"出来ねえ…そんな2世界の関係。
そして同じようなものを"約束の地(カナン)"で見た櫂は、それを凌いで此処にいるのだから、表世界は電脳世界に勝っているのかも知れねえ。
表世界>電脳世界>裏世界……?
だけど玲の父親は、表世界では電脳世界の恩恵を被れないからと裏世界にきたのなら、
電脳世界>裏世界>表世界……?
いやいや、戦い慣れしている裏世界の住人が表世界に繰り出したら、平和ボケしている表の連中なんてコロリだぞ?
……。
3者関係がよく判らねえ!!
「久遠の術は"形なきもの"を、固定化させて縛る術。だがここでは顕現した、既に固定化させたものが無効とされるのに、この銃は違うというのなら……」
そして残った銃弾を外して、掌に置いた櫂。
「問題なのは銃身ではなく、この銃弾だということ」
金色の、少し大きめの銃弾。
俺は銃弾についての知識はほとんどねえから、銃弾を見ただけで真偽は判別つかねえけれど。
「だけどこれだって、"固定化"されてるだろう?」
「ああ、薬莢ではな。だが恐らく、その中にあるものは――虚数だ」
「きょ、虚数?」
いけねえ、声が引っ繰り返ってしまった。
「ああ。0と1に関係がある上、"約束の地(カナン)"を爆破に追い込む威力がある…不可解な"虚数"を放つものだと思う。これもまた、初期の武器である…万年筆から姿を変えただけのものだ。進化した…といっていいのかよく判らないが」
視界に青い光を認めて、俺も取出した銃のトリガーを引いた。
バアアアン。
「うわわわわ!! 突然なんだよ!! 僕の巣を壊す気!!?」
その発射音に、チビが驚いて頭からずり落ちそうになったのを、俺は反対の手で摘んで元に戻してやる。
「いくら馬鹿な頭でも、壊れたら洒落になんねーだろ。縁起でもねえこと言うな」
揺らめく硝煙の向こう側。狙撃結果は櫂と同じく。
電子盤模様の人型は、光となり砕け散る。
武器としての威力は、普通の銃と大して変わらねえ気がするが…。
しかし特定のものに効果があるのなら、普通の銃弾とはやはりなにか違うのだろう。

