……あ?
「巣……濡れちゃって、今までふーふーして乾かしてたんだ。ええと……此処は何処? この白いのなあに?」
開き直ったかのように俄然元気になり始め、既に話題にしていたものをまたぶり返すリス。
聞いてなかったんだろう。
ああ、いいそんなことよりも。
「俺の濡れた髪――
汗じゃなくて、お前の小便!!?」
それだけじゃねえ。
何だか生暖かいものが頭の頂にするとは感じていたけれど。
「お前のようなちっせえ口で、ふーふーして乾くかって言うんだ!! 俺の頭……なにしてくれるんだよ!!」
俺は堪らず怒鳴った。
「お、怒らないって……」
「怒るだろうが、普通は!! うわーどうすんだよ、本当にしやがったこいつ!! うわっ、結構濡れて……頬に垂れたの、お前の小便なのか!!?」
「恥を忍んで言ったのに…怒った…。酷いや…。僕、小リスなのに…。弱い者イジメだ。ぐすっ…」
「俺が悪いのか!!? 俺の方がイジメられてるじゃねえかよ!! ああ、頭洗いてーというか、まず乾かしてえ!! 小便だと思うと、首筋がざわざわしてくる!!」
そんな時、俺の頭に風が吹いた。
「煌、レイが飛ばされないようにそのまま掴んでいろよ。レイごと乾かしてやる」
櫂が笑いながら、俺の頭にドライヤーのように暴風を起こした。
俺の指元で、風に激しく揺れるチビがなにか叫んでいたけれど、それくらい我慢しろっつーの!!
くそっ!!
全てが乾ききった時、堪えきれないというように小猿が笑い転げていた。
面白くねえ俺は、まだ目の前でぶらぶら揺れているリスを睨んだ。
すると少し恥ずかしそうにもじもじしたあと、
「えへ」
そう笑った。
玲で言えば"にっこり"というトコか?
何だか見ているこっちの毒牙が抜けて、リスの小便くらいで騒ぐ俺の方が、器の小せえ奴のように思えてきて、なんだか気落ちしてしまった。
ああ、風呂に入りてえ。
櫂が笑って背中を叩く。
「お前には災難だったが、レイのおかげで、皆の緊張感が抜けたな。翠も敵を追えるようになったし。護法童子もいけるか?」
「あ、ああ…我は大丈夫…」
見れば小小々猿は、いまだ小猿のような薄目をしていて、慌てて真顔で応答したけれど。
この小小々猿は、なにをしていたんだろう。
それを疑問に思うのは、櫂もまた同じだったらしく。
それでももうくっちゃべっている時間の余裕はねえことも判るから。
「レイは大丈夫か?」
「任せてよ!!」
……隠し事がなくなったから、すっきりしたらしい。
すっきりしたのは、体の方だろうがよ。
「だとしたら、行くぞ!!」
突然の櫂の号令に、俺達の体は即座に動いた。

