遠坂と玲の格闘ゲーム好きは、マニアを超えて格闘狂(フリーク)だ。
現実では師弟関係にある(らしい)2人も、ゲームとなれば真剣に本気に戦う。目の色が違うんだ。
前にちらりとその対戦模様を目にしたことがあったけれど、その手腕は素人の俺ですら感嘆するほどで、まずあの2人が手元で何をしているのか判らねえ早業駆使して、最後には玲の奴がやたら派手な奥義を炸裂し、遠坂が悔しがって終わる。
悪いけど、俺……あの2人とゲームで勝てる気もなければ、あのゲームの世界で生き残れる自信0%だ。
緋狭姉や氷皇あたりはどうだか判らねえけど、まさかいつも涼しい顔をしてる白い王子様が、それを切り抜けてくるとは驚きだ。
切り抜ける以前に、そんな処に迷い込むこと自体凄い。
どうやったらんな場所に行き着けるよ?
どうしてそんな場所があるよ?
しかも、その後もコンビニ行くようにふらりと電脳世界にまで寄って帰ってこれるのも凄い。
しかも玲が帰ってきたとされる出口は――。
「スクリーンか」
俺が溜息つきながら言うと、櫂は小さく頷いた。
「しかも確か、Zodiacが密室空間から何処に消えたのか不思議がっていた。あいつらも玲と同じように、行き来出来るのだとしたら」
「ああ。裏世界のスクリーンも、"約束の地(カナン)"のスクリーンも同じものだという前提でいけば、スクリーンの向こう側は……電脳世界の可能性が強い」
俺はガシガシ頭を掻く。
じっとりとまだ汗ばんでるから、掻いていても爽快感はねえけれど。
「けどよ、なんで電脳世界が裏世界を攻撃する? Zodiacが異次元から無差別殺人でもしてるのか? その前に…Zodiacはなんで電脳世界に行き来出来るよ?」
それに――。
「紫堂櫂、俺にもようやく見えた!! あちこち凄い数!! まるでモグラ叩き状態だったんだな」
5分かけずして、小猿は本当に有言実行をした。
賢い猿をしこたま褒めた俺達に、小猿の顔はでれっと崩れた。
……もうちょい、クールさが欲しい猿だけど。
早さにもう目が慣れたらしい、興奮し続ける小猿を片手で押し止めながら、俺は話題を少し前に戻す。
「同時に攻撃してくる"人型もどき"は、Zodiacの3人の数を遙かに超えている。Zodiac以外も…居るのか、電脳世界には」
「……。判らない。せめて、電脳世界に詳しい玲が居れば……」
レイ……。
「あれ、そういえばあのチビ…おとなしいな」
いつも煩い、玲もどき。
塔から落下した時、すんごい玲の雄叫びを聞いたような気がしたけれど、振り落としてしまったとか?

