それに対して、櫂は困ったように苦笑した。
「それは俺にも判らない。Zodiac自体、謎だらけだからな。一度俺達が学園祭でのゲリラライブ及び俺個人プラスαで潰した後は活動休止していたのに、急に人気をぶり返した。しかも音楽の曲調もがらりと変え、顔見せしない…路線変更をした。顔を見せてないから…の理由付けは弱すぎる」
言おうと思っていたのを、最後に櫂に言われた。
紫堂の権威を使ってZodiacに圧力をかけた櫂。
櫂が次期当主ではなくなったからといって、そう簡単に盛り返せるほど、紫堂財閥という存在は小さくはねえ。
考えられるのは、紫堂を凌ぐスポンサーがついたということか。
そしてふと思い出した。
「そう言えば……S.S.Aで黄色い蝶が襲いかかってきたあの会場は、Zodiacのライブをしていたと言ってたな…」
俺が黄色い外套を着て、アホハット曰く…人間だかどうだか判らねえ奴らの首刎ねていたあの会場。
「今でも思い出す。巨大な白いスクリーンに、Zodiacの新曲だとかいうPVだかの映像に、確かあのマーク…ほら櫂、桜華で初めて蛆になった"エディター"もどき…式神が指で描いていたマーク…」
「そこら辺は俺も"約束の地(カナン)"で話を聞いている。ドラゴンヘッドだろう? 皇城や黄幡会の言う、羅侯(ラゴウ)神マークだ」
小猿の反応がねえってことは、集中して俺達の声が聞こえていないのだろう。
「櫂、関係あるのかな、Zodiacと羅侯(ラゴウ)……皇城か黄幡会に」
「無関係ではないだろうな。しかも桜曰く…黄色い蝶が出る時には、Zodiacの音楽が流れていたらしいしな。玲曰く…その曲には、虚数が混ざっていたらしいし」
「Zodiac…なんなんだよ…」
今"旬"の話題を凝縮した、謎だらけのグループ。
無関係だとは言い切れねえ。
こっちはすっきり縁を切りてえのによ。
「なあ……煌」
櫂が、怜悧な目を向けて来た。
「玲で思い出したが、そう言えば、お前……Zodiacのライブ会場で玲とも再会したんだよな」
「おうそうだ。俺を追いかけてきた桜と、芹霞と共に居た玲と」
なんで行動を共にしていたかは深く考えねえようにして。
「桜の話では、確か玲とはぐれた芹霞を桜が見つけ、そしてお前とも再会し……最後に玲が合流したはずだ。その時、玲は何処から現われた?」
「あ? 俺…気づいたら芹霞に頬ぶん殴られていて、そん時はもう玲いたし…。そういえば桜が……」
「玲は……直前まで、ゲームの中に閉じ込められて、"約束の地(カナン)"に居る遠坂の操る格闘キャラの相手をさせられていたんだ」
薄い記憶の中、そんな話を聞いたような。
"約束の地(カナン)"に居た櫂の方が、状況をよく判っているらしい。

