弱さを守る為に武装するのは簡単だ。
しかしそれでは成長出来ない。
強くなれない。
どんな無様でも、自分というものをさらけだして、我武者羅に戦えば、道は拓ける。
ああ、玲様だってあの馬鹿蜜柑だって。
そして櫂様だって。
きっかけは芹霞さんを守ることとはいえ、皆そうやって、汗と泥にまみれて強くなってきた。
形振り構わず戦うことで、成長したというのなら。
そして今も現在進行形で強くなっているというのなら。
私だって出来ないはずはない。
時にはこうして心を解放して、
ただ闇雲に戦うだけではなく――
気心しれて尊敬出来る仲間と…、息を合わせて鼓動を合わせて協力仕合うのもいいじゃないか。
私の力の及ばないところは玲様が。
玲様の危険には私が。
思い出せ。
あのがさつで荒削りの馬鹿蜜柑と共に戦った時の高揚感。
玲様の動きが洗練されている分、あれ以上の満足感がえられるはずだ。
ああ――
なんて体が軽いんだ。
気持ちいい。
「ニャアアアアアアア!!」
突然の火炎放射に驚けば、化けネコまでも参戦していた。
好戦的な真っ赤な目をして、まるで戦いたくて仕方が無いとでもいうように、興奮にふるふると震えていた。
思うことは、人間も動物も同じ。
心が見えれば、連鎖反応的に相乗効果。
ならばここは――
「皆で突破しましょう!!」
全員で。
ひとりだけの力ではなく全員で。
「由香ちゃん、来た道からなんか声が聞こえない!?」
「本当だ!! 応援が来てるのかも!! ここにいない方がいい。ボクはそう思う!!!」
「邪気眼だね!!?」
「そう、ボクの邪気眼さ!!」
そんな会話は露知らず、私と玲様は戦いに夢中で。
「どうしよう、皆気づいていないみたい。というか、あたし達の声聞こえてないみたい」
「それどころじゃなさそうだものな。だけど、ボク……本当に悪い予感に心臓がドクドクしてきたから、早くこの危険な場所から立ち去った方がいいと思うんだ」
「……皆が感じ取れないものを感じ取れるなんて、由香ちゃんの邪気眼凄いね。チャリ漕いで、救世主になったのかな。救世主になっても友達でいてね」
「むふ? 勿論友達さ。マブダチ!! なんて…言っている暇ないぞ、さあ、どうする。さあどうする…ボクの邪気眼。…ん?」
「あたしも考える。皆があたし達の話聞いてくれて、更にあっちの動きを止める方法。邪気眼が目覚めて無くても出来る方法……ん?」
突然、女ふたりは叫んだんだ。
「あ、紫茉ちゃんがいる!!!!」
「七瀬!!!」
その言葉は――
私達の戦闘をとめるには大きな威力を持っていた。

