シンデレラに玻璃の星冠をⅢ





「俺のあずかり知らない処で、俺の意思とは無関係に勝手に俺の運命を決めて、勝手に哀れんで、勝手に蔑んで。

俺は俺の意思で生きている。他人に生かされているわけじゃない!!」



櫂様と同じ顔で。

櫂様のような強い意思で。

他人から理解されない苛立ちを隠そうともしない。



自分は道具だと言っていた玲様は、久涅になにを見ているのだろう。


「では、お前が此の場に現われた理由はなんだ? お前は現に紫堂当主の命令を忠実にこなしている」


玲様はぶれない。

例えひとときの同情があったとしても、その相手が異母兄弟だったとしても、櫂様を自らの手で追い詰め……それを笑っていた相手には変わらないから。


私だって、ぶれない。



「黄色い粉をつけて、黄幡会のマスターやディレクターと現われて。今度は堂々と五皇の姿でおでましだ。僕の捕獲は五皇の務めだとでも正当性を主張しているのか? 五皇の権威を見せられたら、僕が納得するとでも?」


久涅は答えない。


「僕が……形だけの権威に屈するとでも?」


周涅は笑うだけ。


「僕が心から従える五皇は――黒ではない!!」


玲様の口から、言葉が爆(は)ぜた。


そう、私達が崇めるのは鮮烈な赤。

櫂様の漆黒ですら吸収するその赤色の慈悲によって、私達は救われ結束を固めているんだ。


無彩の五皇は――出る幕じゃない。


「ははははは!! 啖呵切って大丈夫なの、玲くん? 今の五皇を統べるのは黄色。黄色の前にはどんな色も無力なんだよ?」


その黄色と黒色が同系の色合いとでも言いたいのか。

黄に使われる黒。


黒は黒だから無彩なのではなく、黄があるからこそ無色だと?

黄がなければ有色になりえると?


「無力なの、久涅」


今まで黙って聞いていた芹霞さんが、冷ややかな口調で久涅に聞いた。


今までの雰囲気とは違い、何だか怖いくらいの…思い詰めた表情をしていた。

今まで故意的に合わそうとしていなかった、久涅との視線を今度は真っ直ぐに見据え、毅然とした態度で芹霞さんは久涅に聞いた。



「他人の意のままに動くことが嫌なのなら、今その格好で此処にいるのは――あんたの意思?」


化けネコを抱えて、一歩前に前に出る。



「ねえ……教えて? "約束の地(カナン)"を爆破したのは、あんたの意思?」


過ぎ去りし話題がまた戻って来てしまう。

しかし誰も芹霞さんを止めようとはしなかった。